世界の動き 2025年7月7日 月曜日

今日の言葉
「移転価格」
 米国から日本車に25%の関税が掛けられたら、日本から米国への輸出価格を引き下げて米国での価格上昇を抑制すればよいという議論をする人がいる。
 本来100の輸出価格を80にして輸出。米国での25%の関税がかかっても100で売れるので、米国での販売は落ち込まない、という議論だ。
 日本の輸出企業は本来100で売れるものを80で売ることになり、日本での利益は大幅に減少する。日本から米国への製品の「移転価格」の操作をしたことになり、国税の許すものではない。注意が必要だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.テキサス州の洪水で79人が死亡、うち28人は子供
【記事要旨】
 昨日、激しい降雨によりグアダルーペ川が鉄砲水に見舞われた。数百人の捜索隊がテキサス州中部の広範囲を捜索したが、死者数は79人に上り、行方不明者が数十人に上る中、予報官は被災地域でさらなる降雨と鉄砲水の発生を警告しました。
 犠牲者のうち少なくとも28人は子供であり、サマーキャンプに参加していた10人の少女は依然として行方不明だ。
 発生状況:豪雨による最初の鉄砲水警報は木曜日の深夜直前に発令されました。金曜日の午前4時頃、グアダルーペ川の水位が3時間で22フィート(約6メートル)上昇したことを受け、郡当局は住民とキャンプ参加者に対し「今すぐ高台に避難!」と呼びかけた。
 疑問:国立気象局の地方事務所では重要なポストが空席となっており、一部の専門家は、人員不足が気象局と地方の緊急管理者との連携を困難にしているのではないかと疑問を呈している。
 気候:科学者によると、化石燃料の燃焼による地球温暖化に伴い、テキサス州で致命的な洪水を引き起こしたような集中豪雨が世界​​中でより頻繁により激しく発生している。
【コメント】
 中央政府のコストカットの影響で国立気象局の上級人材の多くが削減されたのが警報が遅れた理由だという批判がメディアから多く出ている。

2.ネタニヤフ首相がホワイトハウスへ
【記事要旨】
 イスラエルのネタニヤフ首相は本日、ワシントンでトランプ大統領と会談し、ガザ地区の停戦合意について協議する予定だ。トランプ大統領は、今週中に最初の停戦合意が成立することを期待していると述べた。
 停戦合意により、ハマスは人質を解放し、10月7日のハマス主導によるイスラエルへの攻撃をきっかけに始まったパレスチナ自治区におけるイスラエルの戦争を最終的に終結させる可能性がある。イスラエルは昨日、ハマスとの溝を埋めるため、交渉官をカタールに派遣した。ハマスは60日間の停戦交渉に入ることで合意した。
 イスラエルでは、ガザ地区での戦争への反対が高まっている。軍によると、過去1か月で20人以上の兵士が殺害されており、多くの人々が軍はなぜまだそこで活動しているのかと疑問を抱いている。ガザ地区の保健当局によると、これまでに5万5000人以上のパレスチナ人が殺害された。

その他の中東ニュース:
・イランの最高指導者、アリー・ハメネイ師は、先月イスラエルとの12日間の戦争が始まって以来初めて公の場に姿を現し、シーア派のアシューラ祭に出席した。
・アナリストたちは、イランが昨日ブラジルで始まったBRICS首脳会議を、イスラエルと米国の軍事攻撃後の支持基盤を強化する機会として利用すると予想している。
・一部の米国当局者は、中国、ロシア、イラン、北朝鮮による「枢軸」構想を示唆していたが、米国とイスラエルによるイランとの戦争は、その構想の限界を露呈させた。
【コメント】
 ネタニヤフ首相の訪米は何度目だろうか。トランプとは(同じ刑事被告人経験者として)非常に馬が合う感じだ。首相はこれまで米議会で4回も演説してきたそうだ。

3.ダライ・ラマの後継問題が複雑な理由
【記事要旨】
 昨日90歳を迎えたダライ・ラマは、後継者選出プロセスにおいて中国は発言権を持たないと約束した。しかし、中国の指導者たちが後継者選出に異議を唱え、独自のダライ・ラマを任命する兆候がある。
 タイムズ南アジア支局長はこのプロセスが中国との緊張を高める可能性がある理由を説明しています。中国はチベットを支配しておりそもそも宗教の自由も認めていない。中国の認定するダライ・ラマと二人のダライ・ラマが併存する恐れが大きい。
 チベット人の文化的アイデンティティを守るためにインド・ヒマラヤに設立された亡命政府は、ダライ・ラマの後継選定において試練を受けるだろう。
【コメント】
 中国は当然亡命政府の選ぶダライ・ラマを決して認めない。以前認定された幼児が行方不明になったことがある。どうなるか注目だ。

その他の記事
米国:イーロン・マスク氏は、来年の選挙で積極的に活動する新政党「アメリカ党」を設立すると述べた。
オーストラリア:メルボルンで発生した2件の暴力事件(シナゴーグとイスラエル料理レストランでそれぞれ1件ずつ)を受け、国内の多くのユダヤ人が神経をとがらせている。
原油:サウジアラビア、ロシア、その他OPECプラス加盟国6カ国は、8月から原油生産量を増やすことで合意した。この増産は原油価格の下落につながる可能性がある。

貿易とテクノロジー
・AI:ディープシークとアリババの本拠地である杭州は、中国のAIブームの中心地となっている。
・関税:スコット・ベセント財務長官は、火曜日の期限までに一部の国とさらなる合意が成立する見込みだと述べた。
・メキシコ:多くのメキシコの工場にとって、アジアのサプライヤーへの依存はもはや安全な選択肢ではない。企業は変革を急いでいる。

さらに詳しく
・スクリーン:オーストラリアは12月までに100万人以上の10代の若者をソーシャルメディアから排除したいと考えている。これは成功するだろうか?
・兵器:欧州は軍事費をほぼ倍増させる計画だが、米国企業が製造する一部の先進的な装備に代わる選択肢がない。その一つがF-35だ。

2025年7月7日 月曜日 (七夕です)

本が読めない

「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」と言う本が2024年の新書で一番売れた本だそうだ。

本の内容をAmazonで調べてみると以下のようだ。
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【人類の永遠の悩みに挑む!】
「大人になってから、読書を楽しめなくなった」「仕事に追われて、趣味が楽しめない」「疲れていると、スマホを見て時間をつぶしてしまう」……そのような悩みを抱えている人は少なくないのではないか。
「仕事と趣味が両立できない」という苦しみは、いかにして生まれたのか。
自らも兼業での執筆活動をおこなってきた著者が、労働と読書の歴史をひもとき、日本人の「仕事と読書」のあり方の変遷を辿る。
そこから明らかになる、日本の労働の問題点とは?
すべての本好き・趣味人に向けた渾身の作。

【目次】
まえがき  本が読めなかったから、会社をやめました
序章  労働と読書は両立しない?
第一章  労働を煽る自己啓発書の誕生―明治時代
第二章  「教養」が隔てたサラリーマン階級と労働者階級 ―大正時代
第三章  戦前サラリーマンはなぜ「円本」を買ったのか?―昭和戦前・戦中
第四章  「ビジネスマン」に読まれたベストセラー―1950~60年代
第五章  司馬遼太郎の文庫本を読むサラリーマン―1970年代
第六章  女たちのカルチャーセンターとミリオンセラー―1980年代
第七章  行動と経済の時代への転換点―1990年代
第八章  仕事がアイデンティティになる社会―2000年代
第九章  読書は人生の「ノイズ」なのか?―2010年代
最終章 「全身全霊」をやめませんか
あとがき  働きながら本を読むコツをお伝えします
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本のタイトルから想像される内容とは違い、随分と真面目な社会学的に日本人の読書習慣を分析した本のようだ。

この本のタイトルは「働いていると本が読めなくなる」というものだが、最近常勤の仕事がなくなり外に出ることが少なくなった自分の印象は、「働かなくなると本が読めなくなる」と言うものだ。

通勤電車で新書や文庫は月に数冊は簡単に読めた。最近は面白そうだと思って買った本を持て余している。

最近一気に読んだ本は、小川洋子の「サイレント・シンガー」だけだ。この本の文芸春秋の広告は以下のようだ。
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内気な人々が集まって暮らすその土地は、“アカシアの野辺”と名付けられていた。野辺の人々は沈黙を愛し、十本の指を駆使した指言葉でつつましく会話した。リリカもまた、言葉を話す前に指言葉を覚えた。たった一つの舌よりも、二つの目と十本の指の方がずっと多くのことを語れるのだ。
やがてリリカは歌うことを覚える。彼女の歌は、どこまでも素直で、これみよがしでなく、いつ始まったかもわからないくらいにもかかわらず、なぜか、鼓膜に深く染み込む生気をたたえていた。この不思議な歌声が、リリカの人生を動かし始める。歌声の力が、さまざまな人と引き合わせ、野辺の外へ連れ出し、そして恋にも巡り合わせる。果たして、リリカの歌はどこへと向かっていくのか?
名手の卓越した筆は、沈黙と歌声を互いに抱き留め合わせる。叙情あふるる静かな傑作。
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ストーリー展開が最後まで見通せず、最後に二重の落ちが用意されている。読者を震撼とさせる真の傑作だ。

今は、平野啓一郎「マチネの終わりに」を読んでいるが、なかなか読み進めるのが難航している。元々は毎日新聞に長期連載されていた小説で、ストーリー展開の段差のようなものが気になるのだ。自宅で机に向かって読むのも「なんだかななー」と言う印象なのだ。

小説に関して言えば、最近の芥川賞受賞作は最後まで読了可能なものが殆ど無い。以下の2作も途中でギブアップした。
172回(2024年下半期)安堂ホセ DTOPIA
172回(2024年下半期)鈴木結生 ゲーテはすべてを言った

読者に満足感を与えられる小説が減ったことが、人が本を読まなくなってきた小さな理由ではないかと思う。
大きな理由は、スマホだ。電車に乗ると、本を読んでいる人は極めて少数で、ほぼ全員がスマホとにらめっこしている。何を見ているかと言えば、TV/漫画(男性)TV/服飾広告(女性)だ。

デジタル収入をグーグル、アマゾン、FB、アップルと言った米国資本に流出させるだけでなく、スマホの利用時間に応じて日本政府が税金をかけてはどうだろうか。米の値段が高い高いと言いながら、スマホには文句が出ない。横断歩道を渡る際にもスマホを手放せないスマホ中毒者から上前をはねても良いころだろう。読書の減少にも歯止めがかかろう。

2025年7月6日 日曜日

サイバーセキュリティ監査 (備忘録的メモ)

 2025年7月4日に金融庁から、「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン(以下、ガイドライン)」の一部改正について、が公表された。

 これは、「サイバー対処能力強化法整備法」の施行に伴い、内閣官房「内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)」が令和7年7月1日付で「国家サイバー統括室」に改組されたことに伴うガイドライン上の使用語句の変更に過ぎない。

 これを機会にガイドラインで内部監査がどのように言及されているか確認しておこう。以下ガイドラインで内部監査(監査)に言及されている部分だ。

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1.2.2. 経営陣の関与・理解
 サイバーインシデントによる業務の中断は、顧客に大きな影響を与え、金融機関等ひいては金融システムの信頼に大きな影響を与えかねない重大なリスクである。こうしたリスクの性質に鑑みれば、サイバーセキュリティは、IT・システム部門の問題に止まらないことは明らかであり、経営責任が問われかねない問題である。また、サイバーイ
ンシデント発生時に、顧客、金融システムへの影響を最小化し、極力早期の復旧を目指すためには、各業務所管部、企画、広報、コンプライアンス、リスク管理、監査などの
各部門間の連携が不可欠であるし、また、現場担当者に止まらず、経営陣の主体的な関与が求められる。さらに、顧客、法執行機関、情報共有機関、当局等との連携も求めら
れる。こうした組織全体としての対応を実現するためのガバナンスの確立が必要であり、そのためには経営陣のリーダーシップが不可欠である。

 経営陣は、サイバーセキュリティに関する監査の結果や、関係主体等(顧客、地域社会、株主、当局等)からの要求事項や、法規制等の内外環境を踏まえ、サイバーセキュリティ管理態勢の継続的改善を行うこと。

 経営陣が適切な経営判断を行うための前提として重要なサイバーセキュリティに係るガバナンスの確保のため、サイバーセキュリティに関する十分な知識を利用(外部専門家の利用を含む)できるようにしておくこと。これには、一般的な3線防衛態勢(業務部門、リスク管理部門及び内部監査部門)の下、サイバーセキュリティに関する各部門の役割分担の明確化や外部専門家を利用した検証の仕組みを構築することを含む。

 経営陣は、少なくとも1年に2回、以下の報告を担当部署等に求めること。
・ サイバーセキュリティにかかるパフォーマンス指標(KPI)及びリスク指標(KRI)
   KPI の例:標的型メール訓練の報告率、脆弱性対応率、情報資産棚卸進捗率、トレーニング受講率等。
   KRI の例:サイバー攻撃試行件数、監査指摘件数、インシデント件数、未対応の脆弱性件数等。

 人材の育成については、例えば、以下のような人材を外部人材の活用も含めて計画的に確保していくこと。
 ・ 新たなデジタル技術の導入に際し、生じ得るサイバーセキュリティに関するリスク評価を行う人材
 ・ サイバーセキュリティ戦略・計画の企画・立案を行う人材
 ・ サイバーセキュリティに関する研修や人材育成を行う人材
 ・ サイバーセキュリティの観点からシステムの設計・開発を行う人材
 ・ サイバーセキュリティ脅威、脆弱性に関する情報収集やシステムへの脆弱性対応を行う人材
 ・ ログの監視・モニタリングを行う人材
 ・ サイバーインシデント発生時に対応を行う人材
 ・ フォレンジック調査等を行う人材
 ・ 脆弱性診断やペネトレーションテストを行う人材
 ・ サイバーセキュリティ監査を行う人材

2.1.5. 内部監査
【基本的な対応事項】
① 内部監査部門は、必要に応じて外部専門家を利用しつつ、独立した立場から、リスクベース・アプローチに基づき、サイバーセキュリティに係る内部監査計画を策定し、サイバーセキュリティ(整備状況・運用状況、対応・復旧、法規制の遵守状況、サードパーティリスク管理を含む)をテーマとする内部監査を実施すること。
② 内部監査部門は、内部監査で指摘した重要な事項について遅滞なく代表取締役及び取締役会等に報告するとともに、指摘事項の改善状況を的確に把握すること。
【対応が望ましい事項】
a. 内部監査部門にサイバーセキュリティに係る適切な知識及び専門性等を有する職員を配置すること。

継続的な改善活動
 演習・訓練、脆弱性診断及びペネトレーションテスト、監査、リスク評価、及び実際のインシデントから得られた推奨事項、発見事項、教訓については、関連手続等に従って改善すること。

クラウドサービス利用時の対策
 情報公開等の設定にミスがないか確認すること。設定の妥当性の確認においては、必要に応じて、専門家によるシステム監査や誤設定の自動検知等の診断サービス等を利用すること。

サードパーティリスク管理
 サードパーティが遵守すべきサイバーセキュリティ要件を明確化の上、重要度に応じ、サードパーティ等との契約や SLA(サービスレベルアグリーメント)等において、例えば、以下の項目を明記すること。
 ・ サードパーティとの役割分担・責任分界
 ・ 監査権限
 ・ 再委託手続
 ・ 実施すべきセキュリティ対策
 ・ サードパーティの役職員が遵守すべきルール
 ・ インシデント発生時の対応及び報告
 ・ 脆弱性診断等の実施及び報告
 ・ 深刻な脆弱性が判明した場合の対応及び報告
 ・ サイバーセキュリティに係る演習・訓練の実施(共同演習・訓練への参加を含む)
 ・ データの所在・保管・保持・移転・廃棄に関する取決め
 ・ 契約終了の条件及び契約終了時の取決め
 ・ 外部評価等の実施(第三者保証報告書の提出、第三者認証の取得を含む)

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 内部監査について一節が割り振られており、サイバーセキュリティ分野での内部監査の重要性がわかる。

 経営層のリーダーシップと管理のツボの中にも監査が適宜引用され、重要さが理解できる。それにしてもサイバーセキュリティを作る、運用する、管理する、監査するといった能力のある人材確保は非常に困難だ。

2025年7月5日 土曜日

世界の動き 2025年7月4日 金曜日

今日の言葉
「党首の顔」
 他人の容貌について述べるのは良くないのは知っているつもりだ。しかし、党首討論を見ると石破首相の人相の悪さが際立つ。表情が乏しく目が座っていてねばねばした発言を繰り返している。
 自民党には、コバホークや小泉進次郎といったすっきりした印象の政治家がいるので、選挙後の総裁の交代に期待したいところだ。少数与党になり首相の椅子がはっきりしない状況で火中の栗を拾おうとする政治家が出てくるかも見ものだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.下院、トランプ大統領の国内政策法案を可決
【記事要旨】
 米国下院は昨日、減税の延長と社会保障制度の削減を含む、トランプ大統領の国内政策を実現する包括的な法案を僅差で可決した。
 最終的な採決結果は218対214だった。共和党議員のうち2名を除く全員が賛成し、民主党議員はこぞって反対した。ニューヨーク州選出の民主党議員ハキーム・ジェフリーズ氏は、この法案を「アメリカ合衆国国民の医療に対する全面的な攻撃」と呼んだ。
 この法案の可決は、トランプ大統領と共和党にとって大きな勝利ですが、来年の中間選挙を前にした大きな政治的賭けでもある。支持基盤の弱い共和党議員は、社会保障削減を含む政策を支持していることで、厳しい批判にさらされることは間違いない。
 分析:「この法案の可決は、トランプ大統領が共和党を無制限に支配しているように見えることの新たな例に過ぎない。数週間にわたり、あらゆるイデオロギーの議員たちが法案の様々な側面について公然と不満を述べてきた。削減幅が大きすぎるという議員もいれば、削減幅が小さすぎるという議員もいた。それにもかかわらず、トランプ大統領は圧力を強め、彼が設定した期限である7月4日までに可決させた。」とタイムズのホワイトハウス担当は述べる。
 今後の展開:トランプ大統領は、自らが「大きく美しい法案」と頻繁に呼んでいるこの法案に速やかに署名し、法律化すると予想されている。
【コメント】
 トランプの圧力が怖くて共和党から造反者は出てこない。こうした状況がいつまで続くのだろうか。

2.ヨーロッパの危険な熱波が東へ移動中
【記事要旨】
 ヨーロッパ大陸を襲った猛暑が東へ移動したため、西ヨーロッパの一部地域では昨日から気温が下がり始めた。予報官は中央ヨーロッパで危険な気温になると警告する。
 スペインでは4人が死亡し、フランスと共に週初めの厳しい状況の矢面に立たされました。高温と干ばつが相まって、スペインをはじめとするヨーロッパ各地で山火事が発生しています。ギリシャのクレタ島では、消防隊が消火活動にあたる中、観光客を中心に約1,500人がホテルや自宅から避難しました。
 原子力発電所の停止:フランスとスイスの原子力発電所は、猛暑のため少なくとも3基の原子炉を停止した。
【コメント】
 気候変動の影響が原子力発電所の稼働にまで及び始めている。欧州では原子炉の稼働に必要な冷たい冷却水を確保できず、稼働を停止せざるをえないことが増えた。温暖化の意外な影響だ。

3.米国はベトナムを利用して中国を締め付けようとしている
【記事要旨】
 トランプ大統領は各国に対し、サプライチェーンから中国を排除するよう圧力をかけており、ベトナムとの予備的な貿易協定はその目標に向けた第一歩となる。
 ​​協定の詳細は不明だが、ベトナムから米国への輸出には20%の関税が課されることは分かっている。ベトナムからの輸出で、積み替え貨物(原産国ベトナム外でベトナムを経由した貨物)に分類されるものには、40%の関税が課される。中国はこれまで、ベトナムや近隣諸国を利用して、自国製品に対する米国の関税を回避してきた。同様の制裁措置が取られれば、これらの国々はサプライチェーンにおける中国製品の比率を削減せざるを得なくなるだろう。
【コメント】
 全ての米国への輸出品に原産地証明をつけるのだろうか。現実性の乏しい手間だけ掛かる規制のように見えるが。
 いずれにしても、ベトナムは成功、日本は失敗というコントラストがはっきりした。石破首相には厳しい状況だ。

その他の記事
ロサンゼルス:カリフォルニア州の一部のラテン系住民コミュニティは、移民捜査への懸念から独立記念日のパーティーを中止した。
ロシア:トランプ大統領はウラジーミル・プーチン大統領と約1時間にわたる電話会談を行った。これは1月以降、両首脳間の6回目の電話会談となる。
移民:米国によってエルサルバドルに不当に強制送還されたキルマー・アブレゴ・ガルシア氏の弁護士は、同氏がエルサルバドルの刑務所で暴行を受け、睡眠を奪われ、精神的拷問を受けたと述べた。

韓国:ラブバグは無害だが、ソウルとその周辺都市の一部では今年、蔓延がひどく、住民は当局に駆除を求めている。
(ラブバグは1cmほどのハエ目の昆虫。 なぜ「ラブバグ」と呼ばれるのか、というと、交尾する間はもちろん、飛び回る時も雄雌がくっついているためだ。 日本では沖縄で大量発生したことがあるそうだ。)

貿易と経済
韓国:新大統領が投資家に有利な政策を採用するとの期待から、韓国の株価は30%上昇している。
(アベノミクスの時の日本株のようだ。)
インドネシア:経済が減速しているにもかかわらず、政府は依然として学校給食の無償化などの選挙公約に重点を置いている。批判派は、政府の優先順位が間違っていると指摘している。

2025年7月4日 金曜日

世界の動き 2025年7月3日 木曜日

今日の一言
「日本語」
 産経新聞が報じる石破首相の発言。
 「七面倒くさい日本語、日本の習慣を日本政府の負担によってでも習得してもらい、適法な人に入ってもらう」
 こんなことを言い出す石破さんは日本の首相にはふさわしくないことは明白だ。野党にも適当な候補がいないし、参院選で国民はどうすればよいのだろうか。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ショーン・コムズ、性的人身売買の罪で無罪判決
【記事要旨】
 音楽界の大物ショーン・コムズは昨日、自身にかけられた最も重い2つの罪状、性的人身売買と恐喝で無罪となった。彼は売春目的の移送罪2件で有罪判決を受けていた。
 終身刑の可能性があったコムズにとって、この判決はある種の勝利となった。売春2件の罪状でそれぞれ最高10年の懲役刑が科される可能性があるが、最終的な判決は裁判官の判断に委ねられる。
 マンハッタンで行われた8週間の裁判で、陪審員はコムズの常習的な薬物使用と、元交際相手のカサンドラ・ベンチュラと「ジェーン」と名乗った女性への暴力行為について聴取された。検察は、コムズが女性たちを「フリークオフ」、つまり男性売春婦との長時間の性行為に強要した​​として告発していた。
 反応:判決が読み上げられた後、コムズは陪審員に向かって両手を合わせ、「ありがとう、ありがとう」と口にした。その後、彼はひざまずき、祈りを捧げているようだった。女性支援団体は失望を表明した。コムズの弁護団は彼の早期釈放を強く求めた。
 詳細:火曜日、陪審員団は組織犯罪容疑で評決が行き詰まり、裁判官は審議の継続を指示した。昨日、陪審員団はコムズを無罪とする評決を下したと発表した。陪審員団はまた、事件の核心であるセックスマラソンに女性たちが強制参加させられたという主張にも納得しなかった。
 さらに詳しく:ポップミュージック評論家は、陰惨な証言はコムズをヒップホップ界の有力経営者としての地位から完全に引きずり下ろすほどの説得力はなかったと評している。
【コメント】
 この人を知りませんでした。以下wikipediaから抜粋。
『フォーブスの「アメリカで最も裕福なセレブリティ」では8位にランクするなど、アフロアメリカンの音楽家の中でも特に成功したエンターテイナーの一人である。プロデューサーとしては主にメアリー・J・ブライジやジェニファー・ロペスなどの作品を手掛けたことで有名であり、特にメアリーの初期2作へのプロデュースとヒットはMTVニュースの記事で「驚異的な相性」と伝えられるほどだった。』ということです。

2.イスラエル、ハマスとの協議再開を希望
【記事要旨】
 イスラエル外相は昨日、米国主導によるハマスとの集中的な停戦交渉再開に向けた取り組みに「いくつかの前向きな兆候」が見られると述べた。イスラエルは「できるだけ早く」協議が再開されることを切望していると付け加えた。
 サール外相の発言は、トランプ大統領がイスラエルがガザ地区における60日間の停戦を「最終決定するための条件」に同意したと発言した翌日のことだ。停戦により、同地区に依然として拘束されている人質の一部が解放されることになる。
 ​​サール外相は、合意の詳細を具体化するために必要な仲介を指し、「近接協議」を早期に開始することが目標だと述べた。ハマスは、米国が支援する提案を検討していると述べた。
 背景:米国がイスラエルに同調してイランの核施設を爆撃すると決定したことを受け、ネタニヤフ首相が来週ワシントンでトランプ大統領と会談する準備を進める中で、新たな協議に向けた機運が高まっている。
【コメント】
 ネタニヤフ首相の動きの軽さにはいつも驚かされる。何度トランプと直接協議をしているのだろうか。イスラエル国策の節目で必ずトランプの同意を取り付けている。腰の非常に重い石破首相とは好対照だ。

3.武器供与停止で米国のウクライナ支援への疑念深まる
【記事要旨】
 トランプ政権が一部兵器供与停止を発表したことを受け、ウクライナは昨日、キエフ駐在の米国高官を召喚し、説明を求めた。供与停止には、防空迎撃ミサイル、精密誘導爆弾・ミサイルなどが含まれる。
 公式には、この決定は米国の備蓄量の減少によるものだが、別のメッセージが明確に示されているように思われる。米国は戦争から撤退するのだ。タイミングは特に悪い。ロシアは数日おきにウクライナの防空網を突破しようと攻撃を仕掛けている。無人機の後に続く強力な弾道ミサイルは、米国が供与するパトリオットミサイルでしか迎撃できないことが多い。
【コメント】
 トランプの動きはプーチンの野心を助ける。トランプの従来からの決意「この戦争はウクライナの敗北で集結させる」は動かない。
 トランプは思い込みの強い人間だ。彼の「日本は米国車の受け入れを拒んでいる」「日本は米国のコメを決して輸入しない」と言った思い込みは決して変化することが無い。

その他の記事
ダライ・ラマ:今月90歳を迎えるチベットの精神的指導者は、中国は後継者について口出しする権限を持たないと述べた。その理由は以下の通り。
【コメント】
 チベットについて。
 『チベット高原を含む東経77から105度、北緯27から40   度に至る地域を占め、南はヒマラヤ山脈、北は崑崙山脈、東は邛崍山脈に囲まれた地域。チベット民族の祖国とされるこの地域は、1949年以来、中華人民共和国が実効支配しており、その主権と領有についてインドにあるチベット亡命政府と対立している。』
イラン:イランは国連の核査察官との協力を停止した。イランの主な目的は、最近の攻撃からどれほど早く立ち直れるのか、世界に当惑させることだ。

日本:トカラ諸島では過去2週間で800回以上の小規模地震が発生している。

貿易と経済
テスラ:テスラのCEOであるイーロン・マスク氏が自動運転車に注力したことで、同社の世界販売台数は第2四半期に大幅に減少した。
ベトナム:トランプ大統領は、米国がベトナムとの貿易協定に合意し、ベトナム市場を米国製品に開放する見返りに一部関税を撤廃すると述べた。
日本:関税協定をめぐる日米間の交渉は行き詰まっている。日本はトランプ大統領の日本の政策に対する不満を見誤ったとの見方もある。

2025年7月3日 木曜日