世界の動き 2023年10月10日 火曜日

今日の言葉:
「ノーベル経済学賞」
 経済学分野のノーベル賞は、労働力における女性の進歩に対する世界の理解を促進したハーバード大学教授のクラウディア・ゴールディン氏に授与された。女性で3人目の受賞者になる。
 「労働市場における女性の役割を理解することは、社会にとって重要だ。ゴールディン氏の画期的な研究のおかげで、根本的な要因や、将来的に対処が必要かもしれない障壁についてはるかに多くを理解できた」と選考委員会委員長のヤコブ・スベンソン氏は説明した。
 ゴールディン氏は1946年にニューヨークで生まれ、ハーバード大学で教授を務める。男女の賃金格差は歴史的に教育や職業選択の違いによって説明され得るものの、現在でも同じ業務の男女に賃金格差はほぼ存在し、第一子の誕生とともにそれが生じることを過去200年余りのデータを活用して証明した。

 『なぜ男女の賃金に格差があるのか:女性の生き方の経済学』という本が邦訳されています。今度読んでみます。

 

ニューヨークタイムズ電子版より
1.イスラエル、ガザの「完全包囲」を命令
【記事要旨】
 イスラエル国防大臣は昨日、ガザ地区の「完全包囲」を命令した。イスラエル軍は国境の町でパレスチナ人襲撃者と3日間戦闘を続け、報復攻撃を開始し、モスクや市場などガザ地区の数百カ所を攻撃した。
 ガザを支配する過激派組織ハマスは、ガザ住民が「警告なしに自宅で」空爆を受けるたびに民間人人質を処刑すると脅した。 土曜日の侵攻以来、少なくとも150人のイスラエル人がハマスによって人質に取られている。 ハマスの広報担当者は、イスラエルとの戦闘が続いている間、ハマスは捕虜の問題について交渉するつもりはないと付け加えた。
 イスラエル軍軍報道官は、イスラエル軍が国境地域の支配を回復したと述べたが、「まだテロリストがいる可能性がある」と認めた。
 イスラエル国防大臣は、ガザへの「電気、食料、水、燃料」の持ち込みは許可されず、16年間に及ぶ封鎖下にある混雑した沿岸地域が遮断されると述べた。
  イスラエルでは、主な兵役を終えた男女が再び召集されて兵役に就くのを家族らが見守り、テレビ画面には死者の名前がスクロールされるなど、イスラエルを囲む不安に拍車をかけた。
 約800人のイスラエル人が殺害され、そのうち少なくとも85人が兵士だった、とイスラエルは発表した。 ガザ当局によると、子供140人を含む少なくとも687人のパレスチナ人が殺害された。 少なくとも11人の米国人を含む多数の外国人の死亡または行方不明も確認されている。
 イスラエル軍は侵攻以来、ガザ地区で数百回の空爆を開始した。 イスラエル当局者は、今回の空爆はハマスと関連のある場所を標的としたとしているが、国連とパレスチナ当局者は、病院、住宅、モスクが攻撃されたと述べている。
 昨日、イスラエルの不安定なレバノンとの北部国境沿いでも戦闘が勃発し、紛争が複数の前線に拡大する可能性があるとの懸念が高まっている。
 イスラエルはハマスをテロ組織とみなしていたにもかかわらず、ハマスが支配するガザ地区の統治にこの組織が役立つと考えていた。 現在、イスラエル高官らはハマスを潰さなければならないと述べている。
 イスラエルは30万人の予備兵を動員し、軍隊と戦車を南部に派遣して、戦争の次の段階に備えた。 アナリストらは、これにはガザへの地上侵攻が含まれる可能性があると述べている。 しかし、ハマスが非常に多くのイスラエル人を人質に取っているため、そのような作戦の時期と規模は依然として不透明である。
【コメント】
 音楽会場で浚われるイスラエル市民の映像は鮮烈だった。従来、イスラエルは市民の犠牲を省みず激しい報復を繰り返しテロを圧殺してきたが今回はどう対応するのだろうか。
 レバノン国境でも紛争が発生したようで第5次中東戦争へ発展する恐れも指摘されている。今は反イスラエルの旗手はエジプトではなくイランだ。

2.ロシア経済はますます戦争に焦点を当てている
【記事要旨】
 ロシア経済は、一連の厳しい制裁の後、多くの西側諸国政府が想定していたよりもはるかに回復力があることが証明されており、ロシアに軍事に資金を注入する余地を与えている。
 ロシア政府は石油の他の買い手を見つけ、利用可能なほぼすべての労働者に仕事を与え、週給を増額した。 ロシアの新たな予算統計は、紛争を中心に経済の再編がますます進んでいることも明らかにしている。 来年の国の支出のほぼ3分の1(約1,090億ドル)は「国防」に充てられ、医療、教育、道路、その他の分野に流れていたかもしれない資金が振り向けられることになる。
 ロシアのGDP: ロシア中央銀行は、今年の総生産量が最大2.5%増加する可能性があり、これはEU、さらには米国をも上回る可能性があると推定している。
【コメント】
 予算の3分の1を割く完全な戦時経済だ。制裁にも関わらずモスクワを見る限り市民生活に殆ど影響がないようだ。西側の希望する、市民の離反と厭戦でプーチン政権の瓦解シナリオは難しそうだ。

3.米中会談で関係円滑化への期待高まる
【記事要旨】
 中国の習近平主席は昨日北京でチャック・シューマー米上院議員と会談し、中東での暴力激化で両国間のくさびを深める恐れがあるにもかかわらず、中国と米国の「平和共存」への期待を表明した。 シューマー氏は習主席に対し、ハマスによる攻撃に対する中国の公式対応においてイスラエルに対する同情の欠如に「失望」し、中立の立場を選択することを希望すると語った。
 習氏の会談での友好的な口調を受けて、11月にサンフランシスコで開催されるアジア太平洋経済協力会議に習氏が出席し、バイデン大統領と会談するという可能性が高い。
【コメント】
 習バイデン会談への準備が進んでいるようだ。中国へ融和と見られると国内保守派の反発が強まり大統領選挙に影響が出そうだ。ウクライナ、イスラエル、中国、大統領選挙、複雑な連立方程式を解くのは簡単でない。

その他:
・ロバートケネディJrが大統領選出馬へ
 Robert F. Kennedy Jr. will run for president of the U.S. as an independent, ending his Democratic bid and altering the race’s dynamics.
・エチオピアは支援物資を搾取
 The U.S. will resume food aid to refugees in Ethiopia, more than four months after suspending it because of the theft of rations.
・気候変動に欧州農業が生き残る術
 Can Europe fight the effects of extreme weather while producing enough affordable food? Supporters of the Doode Bemde nature preserve, in Belgium, say it offers one solution.
 The idea behind the preserve was to persuade farmers to sell their land while allowing them to continue to use it under certain conditions, such as swearing off pesticides. Supporters say it offers a blueprint for reconciling farming and nature.

2023年10月10日 火曜日 昔の体育の日ですね。

世界の動き 2023年10月9日 月曜日

今日の言葉:
「表現の自由」
表現の自由は、日本国憲法で保障されている「基本的人権」のうち「精神的自由権」にあたる国民の権利だ。憲法では第21条に規定されている。 第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 ② 検閲は、これをしてはならない。 通信の秘密は、これを侵してはならない。とある。
これは一般市民については言葉通り受け取ればよいと思うが、政治家の場合はどうなるのだろうか。
鈴木宗男議員の訪ソとその後の「ロシアの勝利を確信」発言が論議を呼んでいる。現在の日本の国策と鈴木氏が所属する維新の会の政策に明らかに反しているからだ。
また、杉田水脈議員のアイヌ民族への差別発言は、札幌法務局が人権侵害にあたると認定し、議員側にアイヌ文化を学び、発言に注意するよう啓発を行った事例もある。
米国のトランプ大統領は、従来は「それを言ったらおしまいよ」ということを平気で声高に主張し、一定の国民から強固な支持を得ている。
政治家の表現の自由についてはどこまではOKで、どこからはダメになるのか微妙な線引きがある。選挙に勝てば正しい発言ということではないはずだ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.ハマスの攻撃とイスラエルの報復で1,100人以上が死亡
【記事要旨】
過去50年間で最も広範なイスラエル侵攻の一環として武装勢力がガザ国境を土曜に越え、イスラエル軍はパレスチナ過激派をイスラエル領土から追放するために戦闘を続けている。 イスラエルは土曜日、パレスチナ武装勢力による陸、海、空からの攻撃に対抗し、ガザの都市への激しい報復攻撃を行った。
イスラエル軍は、7つの国境地帯のコミュニティと1つの軍基地で戦闘が行われていると報告した。ガザ地区を支配する過激派組織ハマスはイスラエルにロケット弾を発射し続けた。
昨日の推定死者数は1,100人以上だ。 イスラエル国防当局者は、初期の調査で土曜日に約600人のイスラエル人が殺害されたことが示されたと述べた。 ガザのパレスチナ保健省は、襲撃開始以来、78人の子供を含む少なくとも413人のパレスチナ人が殺害されたと発表した。
ネタニヤフ首相は、今後の「長く困難な戦争」について警告し、イスラエル軍は「攻撃段階に入っており、目的が達成されるまで制限も猶予もなく続く」と述べた。 バイデン政権はハマスを非難し、イスラエルへの軍事支援を約束した。
ハマスはイスラエルの兵士と民間人を捕虜にしており、報復作戦が複雑になる可能性がある。 ネタニヤフ首相は土曜日、ガザ地区内で戦闘員が隠れたり活動したりする可能性のある場所から退去することをようパレスチナ人に警告し、それらの場所を「瓦礫」に変えると約束した。
しかし住民は、逃げたり隠れたりする場所がなかったと述べた。 活動家たちは人口200万人のガザで民間人に混じって暮らし、活動している。
イスラエルの隣国のうちエジプトとヨルダンの2カ国が、紛争の激化を鎮めるよう呼びかけた。 しかしレバノンでは、2006年にイスラエルと戦争を繰り広げたシーア派武装組織ヒズボラが昨日、レバノン占領地とされるシバア農場地域にあるイスラエル軍の駐屯地3カ所に砲弾と誘導ミサイルを発射したと発表した。
ネタニヤフ首相は予備役の召集を発令し、イスラエル軍は国境地域の24の村の住民を避難させていると発表したが、これはイスラエルがガザ地区内でのより広範な作戦を準備していることを示している可能性がある。
【コメント】
ウクライナに目を奪われていたが、いきなりガザ紛争が再燃した。
ガザ地区とは。ガザを知ろう、より。
「長さ50km、幅5~8kmの狭く細長いガザは、種子島ほどの面積に200万人の人が住む、 世界で最も人口密度が高い場所の一つです。 人口の約45%は14歳以下の子どもで、7割は難民となった人々です。 2005年までは、イスラエルの入植地があり、イスラエル軍が常駐していました。 同年、ガザ内部から入植者と軍が撤退しましたが、ガザは周囲からイスラエル軍に包囲され、 人や物の出入りが極端に制限されています。 その結果、燃料や食料、日用品、医療品などが慢性的に欠乏し、 経済や生産活動が停滞して、 人々は国連や支援団体からの援助物資で命をつないでいます。
また2008年以降、ほぼ2年おきにイスラエル軍からの激しい軍事攻撃が行われ、 多数の市民が犠牲になり、大規模な破壊がガザの状況をますます悪化させています。」

2.アフガニスタンを大地震が襲った
【記事要旨】
地元当局によると、アフガニスタン北西部で発生した2つの大地震による死者数は昨日813人に達し、さらに増加すると予想されている。ここ数十年で同国を襲った最悪の自然災害の一つとなっている。
土曜日、イランとの国境沿いにあるヘラート県を、どちらもマグニチュード6.3の2つの地震が襲った。 昨日、甚大な被害を受けた地域に到着した援助従事者らは、家族全員が死亡している多くの事例を発見した。
地震は、近年大規模な洪水、土砂崩れ、地震に耐えてきたアフガニスタンを襲う新たな自然災害であった。
【コメント】
レンガ造りの家々が一瞬にして崩壊したようだ。世界からの支援が必要だが、タリバンの支配するアフガニスタンには支援のための人材や物資が届きにくい。

3.ウクライナの港が2日連続で攻撃された
【記事要旨】
ウクライナ当局者は土曜日、ロシア軍がオデーサ南部地域を夜間ミサイル攻撃し、4人が負傷し、港湾インフラが損傷したと発表した。 ロシア政府がウクライナ経済を圧迫する広範な取り組みで港湾や穀物施設を引き続き標的にしている中、この地域への攻撃はここ2日間で2回目となった。 前日には、ロシアの無人機が、同じくオデサ地方の港湾都市イズマイル近くの穀物サイロを攻撃した。
ウクライナは世界最大の穀物輸出国の一つだが、今夏のロシアによる黒海封鎖後、ウクライナの小麦輸出は急減した。ウクライナはそれ以来、戦争中の重要な収入源を守ろうと、代替ルートの利用を進めている。

【コメント】

イスラエルに目を奪われても、ウクライナ戦争は続いている。

その他:
・パキスタンはタリバン政権へ強硬化
Pakistan announced plans to expel more than one million Afghans living there illegally, a sign of increasing hostility between the Pakistani government and Taliban authorities.
・ノーベル平和賞はイラン人活動家へ
Narges Mohammadi, Iran’s most prominent human rights activist and an inmate in the country’s notorious Evin Prison, was awarded the 2023 Nobel Peace Prize on Friday.
・オーストラリアでも極右が台頭
Australia has been bitterly divided over a referendum on whether to set up a body to advise Parliament on Aboriginal issues.
Conspiracy theories of a rigged election in Australia have rippled out from the far right of the political fringes, raising alarm.

2023年10月9日 月曜日

ジャニーズ事務所の記者会見に思う

 2回目の記者会見をほんの少し見た。怒号が飛び交っている印象を受けた。NHKの報道等で、後からわかったのだが質問者が手をあげても、当てない(つまり質問させない)NGリストが作られていたのだ。

 ArcTimes創業の二人と、一月万冊の二人、その他2名の、計6人がNGリストに上がっていたことがその後の報道でわかった。FTIコンサルティングという外資系のアドバイザーが主導してやったという説明だ。大手弁護士事務所がジャニーズ事務所の顧問をつとめており、その事務所出身でジャニーズ事務所のCCO(チーフコンプライアンスオフィサー)に就任する人も会見に関与していたようだ。

 ジャニーズ事務所の対応は、「揉め事なく早く済んでくれればよい」という、上場企業の株主総会に臨むメンタリティだ。株主総会では、株主が手を挙げている際に指名するのは議長(通常はCEOが務める)の裁量だ。

 会社と訴訟になっている株主、法務・ビジネス問題でもめている株主、会社のブラックな内情を知りすぎている元従業員等、質問させたくない株主はいるし、彼らの容貌も議長は知っている場合が多い。

 今回NGリストをコンサル会社が作ったことで、ジャニーズ事務所まで非難を浴びているが、今回の会見を株主総会同様のものだと考えれば、わかりやすいのではないだろうか。

 ジャニーズ事務所との関係に影響が出ることを心配してジャニー氏の性的暴行に関して見て見ぬふりをして来たTV局は、与党総会屋と考えれば理解しやすい。記者会見は全キー局が延々と中継していた。手の平返しで詰問するTVレポーターは、与党総会屋から通常の総会屋へ宗旨替えしたのだ。

 こんな些末な(BBCが取り上げたので大問題化したが)問題を取り上げる前に、我が国を取りまく、政治(国内も海外も)、経済・金融、科学技術、安全保障・防衛、疫病対策を含むQOL、等々、メディアが本気で取り上げないといけない大問題が置き去りにされている。自民党長期政権へのメディアの忖度が、一番の問題だと思うのだが。

2023年10月8日 日曜日

良薬は口に苦し

英語では、Good medicine tastes bitter. という日本語そっくりの表現がある。中国では「良藥苦於口」と言う言葉が論語にある。日本語のことわざはこれが語源なのかもしれない。

血糖値の薬を長いこと服用しているがここしばらくHbA1cが漸増傾向だ。医者の勧めで薬の一つを変えることにした。

リベルサスという薬で、効能書きによれば、「この薬は、経口GLP-1受容体作動薬と呼ばれる薬で、1日1回の使用で効果が持続するように製剤的な工夫をした薬です。この薬は、主に膵臓(すいぞう)にはたらきかけ、血糖値が高くなると、インスリンの分泌を促して血糖値を下げます。」という効果があるようだ。従来は注射でしか手に入れられなかった薬が、経口で使用できるようになったということで、期待が膨らむのだ。

普通の薬と違い胃で吸収するので(普通の薬は腸で吸収)飲み方が特殊だ。起床時にごく少量の水で服用し、その後30分は飲食が禁じられている。

この薬はとても苦い味がする。少量の水しか飲めないので余計に苦みを強く感じる。まさに「良薬口に苦し」といってよいだろう。

政府は先日5つの経済対策を打ち出したが、その実行手段は15兆円に及ぶと言われる補正余談だ。秋には解散総選挙もうわさされるなか、有権者に実感できる「甘味料」の大盤振る舞いになりそうだ。

いつから我々は、滅亡前の古代ローマのように「パンとサーカス」にしか関心を持たない国民になってしまったのだろうか。昨日のTVの報道番組ではほとんどが、ジャニーズ問題かウクライナ情勢を取り上げていた。辺野古の埋め立て問題、同司法判断、水俣病の判決、統一教会の自民党への関与、労働組合のあり方等、国内政治問題が沢山あると思うが、一向に取り上げられない。

今週はノーベル賞ウィークだが、今年も日本人受賞者は出てこないようだ。先端科学技術分野やGAFAに代表されるITビジネス分野で日本の後退は明らかだが有効な対策は打ち出されていないように思われる。

資金も人材も限られている中で、国民に甘味料をバラまくのは止めて、口に苦くても良薬を処方する政治が求められていると思う。それを受け入れる国民が存在するのが前提だが。

2023年10月7日 土曜日

世界の動き 2023年10月6日 金曜日

今日の言葉:
「逆イールドカーブ」
 米国債のイールドカーブはここ1年3カ月にわたり逆転している。つまり、10年物米国債の利回りが2年物の利回りを下回っている「逆イールド」の状態だ。  これは広く知られているように、強力な景気後退指標の一つだ。逆イールドが長期化するということは、深刻な問題が進行中であることを意味する。しかし、ここ数週間の長期債利回り上昇で、逆イールドは急速に縮小しており解消される可能性もあるかもしれない。
  逆イールドが解消されるのはリセッション(景気後退)が始まる直前という経験則がある。明らかに景気後退が迫っている時は、中央銀行が利下げを開始し短期債利回りを低下させるからだと考えられる。今の状況は恐ろしいことのように聞こえる。
  しかし、ここでもう一つの要素を加える必要がある。前述の通り、カーブの逆転解消は短期債の利回り低下によって起こることが多い。専門用語では「ブルスティープニング」と呼ばれる。今回は違う。長期債の価格下落(利回り上昇)による「ベアスティープニング」が原因だ。さらに、逆イールドの状態から始まる特殊なベアスティープニングだ。
 つまり、指標の見方次第で、リセッション入りかどうか判断がわかれる。Time will tell!

 

ニューヨークタイムズ電子版より
1.ロシアの空爆でウクライナの村で51人死亡
【記事要旨】
 ウクライナ北東部のフローザ村で昨日、通夜に集まっていた人々にロケット弾が直撃し、少なくとも51人が死亡したとウクライナ当局が発表した。
 商店を襲ったこの空爆は、ロシアによる本格的な侵攻が19カ月以上前に始まって以来、民間人に対する戦時中の最悪の攻撃の一つとなった。
 ここには、近くに明らかな軍事目標や産業目標はないが、一撃で村のほぼ半数が死亡した。
 ゼレンスキー大統領は今回の空爆を「明らかに残忍なロシアの犯罪」として非難した。
 クレムリンからは攻撃についてコメントはなかった。 ロシア政府はこれまで、民間標的を意図的に攻撃したことを否定してきた。
 共和党が政府機関を閉鎖寸前まで追い込み、その後自らの議長を解任するという先週の下院でのドラマも、共和党支持率の急激な低下を浮き彫りにした。
 民主主義を守る軍備を長年推進してきた共和党はバイデン大統領が要請した数十億ドルの援助を停止し、ウクライナ軍を長期的に支援するという政権の約束に異議を唱える可能性がある。
【コメント】
 ウクライナ・ロシア共に自国が優勢だとアピールしているが、戦争の行方はどうなっているのだろうか。確実なのは前線で若者の血が流されていることだ。

2.イラン人、少女の昏睡容疑で警察を疑う
【記事要旨】
 イラン国営テレビで放送された防犯カメラの映像には、日曜、テヘランの地下鉄車内に短い黒髪を露出した16歳のアルミタ・ゲラヴァンドさんが映っていた。 数分後、彼女は無意識の状態で引きずり出された。
  それ以来、アルミタは昏睡状態にあり、軍病院で警備員に守られている。 彼女に何が起こったのかは正確には明らかになっておらず、政府は彼女が倒れた理由を明らかにする可能性のある列車内の映像を公開していない。 しかし、この状況は怒りを増幅させ、イランの服装規定を強制する職員が彼女に危害を加えたに違いないという非難を引き起こした。
 女性に髪を隠すことを義務付けるイランのヒジャブ規則に違反した疑いで昨年、道徳警察の拘留中に22歳で死亡したマフサ・アミニさんとの比較がなされている。 彼女の死は全国的な抗議活動を引き起こした。
【コメント】
 ヒジャブ規則は西欧では理解できないが、ドグマで大衆を押さえようとするイスラム原理主義にとっては国の存続に係る問題だ。

3.TikTok、インドネシアでのショップ機能を終了
【記事要旨】
 インドネシアは先週、ソーシャルメディアプラットフォームでの電子商取引を禁止し、国内のTikTokショップは閉鎖を余儀なくされた。 これは、約3億2,500万人のユーザーを擁し、そのうち1億2,500万人がインドネシアのTikTokの東南アジアにおける野望にとって挫折となった。
 インドネシア貿易省によると、この措置は地元の商店を保護し、アルゴリズムによる市場の支配を防ぎ、ビジネス目的での個人データの使用を阻止することを目的としているという。 あるコンサルティング会社によると、同国の急速に成長する電子商取引市場の昨年の価値は約520億ドルで、そのうち約25億ドルがTikTokであったという。
【コメント】
 この規制は上手く行くのだろうか。規制をかいくぐる手法がすぐに現れると予想する。便利なサービスは規制では押さえられず拡大するものだ。

その他:
・ノーベル文学賞
 The Nobel Prize in Literature was awarded to the Norwegian novelist and playwright Jon Fosse. Here’s where to start with his work.
(全く知らない作家でした。以下「日々の栞」より引用。
『ヨン・フォッセ (Jon Fosse)はノルウェーを代表する現代劇作家だ。ヨン・フォッセは小説「赤、黒」で作家デビューし、その後小説だけでなく戯曲も手掛けている。
 ヨン・フォッセの戯曲は40以上の言語に翻訳されており、グローバルに大きな関心を集めている。ヨン・フォッセは、イプセンに続き最も頻繁に上演されるノルウェー人劇作家である。ミニマリズムを特徴とし、「間」をうまく使った戯曲は特徴的で世界中で評価されている。また、場面や台詞を繰り返すなど表現に面白さがある。
 前衛的な作風が特徴で、「イプセンの再来」や「21世紀のベケット」とも呼ばれる。
 戯曲の代表作としては、「だれか、来る」などがある。日本でも作品は上演されており、「だれか、来る」、「死のヴァリエーション」、「スザンナ」といった戯曲が上演されている。』
 日本語訳された小説・戯曲作品は無いようだ。村上春樹は残念でした。
・フォアグラを守る
 To protect its flocks and its foie gras from the ravages of bird flu, France has begun a mass vaccination of 64 million ducks.
(ワクチンを打てばよいのだろうか。日本の鶏はワクチンを打っていても処分されているが)
・バイデン、国境の壁再開
 In a significant reversal, President Biden’s administration waived regulations to expedite the construction of a border wall in southern Texas, where millions of migrants have reached U.S. soil.
(バイデンのこの動きはトランプに嘲られている。移民に優しい民主党ではなかったのか。)

2023年10月6日 金曜日