世界の動き 2023年11月8日 水曜日

今日の言葉:
「孫正義」
 孫さんは我が国で最も実績を上げてきたベンチャー投資家だ。尊敬に値する実績を誇ってきた。しかし、WeWorkでは大失敗した。これまでの成功の積み重ねで傲慢になっていたという批判が出てきている。以下、Bloomberg記事より。
『ソフトバンクグループによる米ウィーワークへの投資は、ウィーワークの破産申請という結果に終わった。グループ創業者の孫正義氏にとってウィーワークと関わった数年間は、同氏の投資スタイルに衝撃的な欠陥があることを明るみに出し、被った損失以上のダメージを同氏の評判に与えるものとなった。ウィーワーク急転落でソフトバンクGは推計115億ドルの投資損失を出したほか、22億ドル相当のウィーワーク社債も保有している。ニューヨーク大学スターン経営大学院のアスワス・ダモダラン教授は「孫氏の行動は『自分は傲慢(ごうまん)だ』と言っているようなものだ」と語った。』
 発言が引用されてるダモダラン教授はNYUのファイナンスの著名な教授だ。彼のMBAコースでの授業はYouTubeで見ることが出来るので興味と時間があれば見て下さい。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.イスラエルはガザでの長期的な役割を計画
【記事要旨】
 イスラエルによるハマスに対する軍事作戦が2か月目に入る中、ネタニヤフ首相は戦争後のイスラエルの計画について、イスラエルは戦闘が終わったら将来の攻撃を防ぐためにガザ地区の安全を監督する必要があると述べた。
 ネタニヤフ首相は計画についてほとんど詳細を明らかにしなかったが、ABCニュースとのインタビューで、イスラエルが「無期限」にガザの「安全保障全体の責任を負う」と考えていると述べた。 米国などが警告してきた動きだ。
 イスラエルはハマスの破壊が目的だとしているが、ネタニヤフ首相はハマスがいなくなった後誰がガザを統治すべきかに言及していない。 ヨルダン川西岸の一部地域を支配するパレスチナ自治政府が同地域の統治に関与できるかどうかは不明だ。
 イスラエルでは、ネタニヤフ首相の立場に対する幅広い政治的支持があるようだ。 軍事アナリストらは、同国はガザ再占領か撤退かの選択に直面しており、空爆と地上侵攻によって引き起こされた民間人の苦しみがイスラエルに対する暴力的な抵抗を促進する新たなグループの出現につながる可能性があると警告した。
 タイの外務大臣は、ハマスや他の武装勢力に拘束されている24人のタイ人農業従事者が次に解放される可能性があると述べた。彼らは戦争とは無関係だからだ。
 ガザでの血なまぐさい軍事作戦に対する世界的な批判に直面しているイスラエル当局者は、第二次世界大戦から9.11後の対テロ戦争までの都市部における過去の西側軍事行動を引用して自らの行動を擁護した。
 イスラエル人はハマスの10月7日の襲撃から1か月を迎えた。一部の犠牲者の遺体がまだ発見されていない。
【コメント】
 ガザでの戦闘がいつ終わるかは不明だ。戦闘後ハマスがどうなっているか不明だ。ガザ住民のイスラエルへの憎悪は増加しているのは確実だ。
 一時停戦をなるべく早くして国連の平和維持軍が派遣出来れば良いが、大国の思惑があり安保理はまとまらない。

2.中国は財政難に陥った国に数十億ドルを融資
【記事要旨】
 中国は、主に高額インフラプロジェクトのために発展途上国に1兆3000億ドルを融資した後、融資先の国を巨額の債務の山から救済することに焦点を移した。
 最初の融資のほとんどは、開発プロジェクトに資金を提供し、150カ国以上の関係を強化するために2013年に開始された「一帯一路」構想の一部だった。 しかし現在、インフラ融資の大半を提供していた中国国営銀行は新規融資を減らし、低・中所得国への救済融資が急増している。
 一帯一路構想からの中国の融資の多くは、経済成長を促進するものではなく、各国に返済不可能な債務を負わせた高価なプロジェクトの建設に使用された。
 国際通貨基金は、今年と2024年の中国の成長予測を引き上げたが、金融セクターと不動産セクターによる中国経済へのリスクを警告している。
【コメント】
 無限に資金を生み出すかに見えた中国の金融システムにほころびが生じつつある。国家独占資本が自分で資金繰りをつけている分野はまだ目立たないが、民間資金が集められている不動産部門ではほころびが明らかだ。バブル崩壊後の我が国のように過剰債務とデフレスパイラルに陥るかの瀬戸際だ。

3.ウクライナ、勲章授与式での死亡事件を調査
【記事要旨】
 勲章を受け取るために集められた兵士のグループに対するロシアのミサイル攻撃は、ウクライナ軍に対する批判を引き起こした。 金曜日に行われた式典への攻撃で兵士19人が死亡した。 兵士とウクライナの文民指導部は、目に見える場所での集会は無謀であり、避けられる悲劇だったと主張している。
 批評家らによると、この式典はソ連時代の軍事ハンドブックからそのまま出てきたもので、兵士たちは勲章を並べたテーブルの前で注意を払い、ヘルメットを脱いだという。 犠牲者の多くは頭部外傷が原因で死亡したとみられる。
 ウクライナ政府は死亡事件を調査しており、調査結果が出るまで旅団長は停職処分となっている。
 これとは別に、ウクライナ検察当局は、ウクライナ軍最高司令官の側近が死亡した誕生日祝賀会での奇妙な爆発事件を捜査している。 ウクライナ当局者らによると、補佐官は誕生日プレゼントとして手榴弾6個が入った箱を受け取り、息子が誤って手榴弾のピンを抜いてしまったという。
【コメント】
 ゼレンスキー大統領と軍司令官との軋轢が最近報道されているが、この記事の出来事は全く知らなかった。このような情報が出てくるのは政府と軍の関係のほころびの現れかもしれない。

その他の記事より:
・英国王は自分の言葉で語る
 King Charles III opened a session of Britain’s Parliament with a speech outlining priorities that were sharply at odds with his own beliefs.
・WeWorkの倒産
 WeWork, the company that offers flexible workplaces in the U.S. and 36 other countries, filed for bankruptcy.
・結核が死因の第一位
 Tuberculosis is once again the world’s deadliest disease, surpassing Covid-19.

2023年11月8日 水曜日

世界の動き 2023年11月7日 火曜日

今日の言葉:
「米大統領選」
 『米大統領選挙まで残り1年となったが、2大政党への否定的な見方が過去最多に上り、有権者の大半は、ジョー・バイデン氏とドナルド・トランプ氏のいずれにも大統領になってほしくないと話している。しかし来年1月に予備選が始まれば、両氏がそれぞれの党の候補指名を獲得するとの見通しを世論調査は示す。大統領としての仕事ぶりに満足しているとの回答はバイデン氏が37%、トランプ氏も38%にとどまる一方で、あと1期務めるには両氏とも高齢過ぎるとの回答は半数を占める。』(Bloomberg記事より)
 枯れ木の老人か遠吠えの狂犬か。まともな候補者はいないのだろうか。米国民主主義の劣化を感じざるを得ない。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.イスラエル、ガザ地区を真っ二つに分断
【記事要旨】
 イスラエル軍は昨日、ガザ市を包囲し、事実上ガザ地区を半分に分割したと発表した。 イスラエルは、この措置によりハマスが地域の支配を維持することが困難になると述べた。
 イスラエルはガザ地区の北部にあるガザ市をハマスの軍事作戦の中心地としている。 イスラエル軍報道官は「これは接近戦の市街戦で、多くの歩兵が働いている。」と述べた。
 ガザでは日曜日遅くに通信障害が発生したため、戦闘の規模は不明だが、電話とインターネットの接続は昨日から徐々に回復しているようだ。 イスラエルは日曜日の夜、ガザ地区で450の標的を攻撃したと発表した。
 イスラエル軍が軍事行動を進める中、ブリンケン米国務長官は中東歴訪の最後の目的地としてトルコを訪れていた。 ブリンケン氏は記者団に対し、バイデン政権は「ガザへの人道支援をさらに増やすことに非常に積極的に取り組んでいる」と述べ、「支援が大幅に拡大する可能性があることが数日以内に分かると思う」と付け加えた。
 ブリンケン氏は訪問中、イランに対し、イスラエルとハマスの対立を拡大させるために代理人を利用しないよう繰り返し警告した。
 国連は、パレスチナ難民を支援する職員88人が死亡し、これは単一の紛争における死者数としては最多であると発表した。
 ガザの医師らは、数週間にわたるイスラエルの爆撃により医薬品、水、食料、燃料が深刻に枯渇した後、麻酔なしで手術を行っていると述べている。
【コメント】
 10月7日のハマスによる奇襲攻撃から明日で1か月だ。その間、トップニュースは連日ガザの紛争だった。外交努力が継続されているようだが、解決への道筋が見えない。人道的な要因とは別のどろどろした国際政治の複雑さが問題解決をほぼ不可能にしている。

2.トランプ氏、詐欺裁判で証言
【記事要旨】
 ドナルド・トランプ氏は昨日ニューヨークで、有利な融資や保険契約を得るために事業資産の価値を不正につり上げた疑いで告発された民事詐欺裁判で証言台に立った。 暴言ととりとめのない証言の中で、トランプ氏は自分の不動産の価値に関する文書の作成に協力したこと、そして「高すぎると思った」という理由で1つの不動産の価値を引き下げたことを認めた。
 トランプ氏の証言は、財産評価から距離を置こうとする同氏の努力を台無しにしたように見えたが、時には介入していないとも証言した。 彼は財務諸表の重要性を最小限に抑えようとし、彼が利用した銀行家は財務諸表にほとんど注意を払わなかったと述べた。
 裁判の結果はアーサー・エンゴロン判事によって決まることになるが、彼は昨日トランプ大統領に対し、発言を短くするよう求め、「これは政治集会ではない」と何度も叱責した。 トランプ氏は来年の選挙でバイデン大統領に対抗する共和党候補の最有力候補だ。
 この訴訟を起こしたニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は、トランプ大統領に2億5000万ドルを支払い、彼と息子たちが州内で事業を営むことを永久に禁止するよう求めている。
【コメント】
 前にも述べたが「ノンリコースローン」という制度を上手く使ったトランプの事業展開が問題なのだが、それを助長した銀行業界にも問題がある。トランプがやったことは誰もがやっていたことなので、彼は自分が犯罪を犯したとは露ほども思っていないはずだ。

3.中国は新たな経済計画を策定
【記事要旨】
 中国の政治指導者らは、国の脆弱な経済を回復するための支援をするよう圧力を受けており、ゆっくりと経済を新たな方向に舵を切り始めている。 かつては、成長を促進するために不動産と地元の借金に依存していた。 しかし現在、彼らは製造業、特に電気自動車や半導体などの急成長産業への投資を増やしており、中央政府による借入も増加している。
 中国の投資推進は今後数カ月でさらに成長を促進し、住宅部門の問題を部分的に相殺する可能性がある。 しかし、地方借入の代替として中央政府が借入を増やしても、債務の蓄積による長期的な成長の足かせを和らげることにはほとんど役立たない。
 ジャネット・イエレン財務長官は今週、サンフランシスコで中国の何立峰副首相と会談する。 この会談は、バイデン大統領と中国の習近平国家主席の間で予想される会談の基礎を築くことになる。
【コメント】
 中国の経済は悪いが、中国株への投資は悩みどころだ。今後も株式市場が軟調なのか、景気刺激策により今が底なのか判断に迷うからだ。さあどうなるだろうか。

その他の記事より:
・ウクライナの戦況
 Ukrainian forces have secured a sliver of land on the Russian-held bank of Kherson, and the gains could push Russian artillery farther away from the city.
・バイデンへの黒人層の支持低下
 Support from Black voters is drifting toward Donald Trump, just three years after that constituency helped elect President Biden, according to a Times/Siena College poll.
・オーストラリアでの宗教騒乱
 Australia has experienced a flurry of incidents targeting Muslims and Jews since Hamas’s Oct. 7 attacks on Israel.

2023年11月7日 火曜日

世界の動き 2023年11月6日 月曜日

今日の言葉:
「紅葉」
 3連休は那須塩原でも紅葉狩りの多くの人出で賑わった。
 当方もどこかないかと調べて出かけた。まず、福島県南会津下郷町の「観音沼」へ。沼に映る紅葉のグラデーションが見事だ。ついで、塩原温泉の「紅の吊橋」。川の流れを挟んだ対岸の紅葉を見る。赤い紅葉が多くまさに紅だった。最後は、会津西郷村の「紅葉大橋」へ。ガイドブックに載っていないので人手が殆どない。ダム湖に架かる橋と遠い那須連山が織りなす自然が満喫できる。お薦めだ。
 竹内まりやの「人生の扉」ではないが、だんだん「紅葉」を美しいと感じるようになってきたのは年齢が為せる業だろうか。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ブリンケンの中東訪問
【記事要旨】
 ブリンケン米国務長官は昨日バグダッドを予告なく訪問し、アル・スダーニーへイラク首相の支持を表明するとともに、イランに対する米政権の自国民防衛への取り組みについて説明した。
 ブリンケン氏の中東歴訪は、イスラエルの対ハマス戦争の余波を封じ込め、イランとその代理勢力、特にレバノン地域を支配する武装組織ヒズボラの紛争参戦を阻止することを目的としている。
 当局者らによると、バイデン政権は地域パートナーを通じて、イランとヒズボラがイスラエルに対する攻撃を開始した場合、米国は軍事介入する用意があるとのメッセージを送った。
 その日の早朝、ブリンケン氏はヨルダン川西岸を訪れ、国際的に支援されているパレスチナ自治政府のアッバス大統領と会談した。 ブリンケン氏とアッバス氏は、10月7日の襲撃以来、イスラエル軍による攻撃や武装したイスラエル人入植者による攻撃が急増しているヨルダン川西岸で平静を取り戻す取り組みについて話し合った。
 金曜日、イスラエルでブリンケン氏は、小型爆弾の使用を含む、軍事作戦における民間人の死傷者を減らすためのいくつかの措置を非公開で概説した。
 土曜日の夜、ガザ地区中央部の人口密集した難民キャンプで爆発があり、いくつかの建物が破壊され、多くの人が死傷したとみられる。
 イスラエルは、戦争期間中数十万人の民間人をガザからエジプトに移送することへの国際的支援を密かに構築しようとしており、永久追放に対するパレスチナ人の不安を増幅させている。
 米国では、数万人の抗議参加者がオハイオ州、ユタ州、カリフォルニア州、ワシントンD.C.で行進し、ガザでのイスラエルの軍事作戦の規模を非難した。
【コメント】
 米国、イスラエル、ハマス、イスラエル自治政府、ヒズボラ、イラン、ロシア等々、登場者が多く、複雑な連立方程式を解くのは困難だ。戦闘の停止ですら「停戦」か「一時停止」かでまとまらない。イスラエルに敵対する勢力はイスラエル支持国へサイバー攻撃を予告しており、日本も対象になっているようだ。

2.過激派がパキスタンの空軍基地を攻撃
【記事要旨】
 パキスタン軍は土曜日、パキスタン中部にあるミアンワリ訓練空軍基地に対する武装勢力による攻撃の撃退に成功したと発表した。 しかし、この事件は、この国の不安定な安全保障状況に対する懸念が新たになった。
 正体不明の過激派組織、パキスタンのテリーク・エ・ジハードがこの暴行に対する犯行声明を出した。 この主張はすぐには確認できなかった。 空軍基地への侵入の試みは、南西部のバルチスターン州で車列で移動していた14人の兵士が待ち伏せされて殺害された翌日に発生した。
 2021年のタリバンによるアフガニスタン占領以来、パキスタンにおける過激派の暴力は大幅に増加しており、国防アナリストらは軍事目標への攻撃が増加するという憂慮すべき傾向を指摘している。
【コメント】
 パキスタンは南アジアのイスラム大国だ。タリバンのアフガン支配依頼政情が不安定になっている。米国はウクライナとイスラエルを抱え、とてもアフガンに対応する余力は無さそうだ。ロシアも中国もインドも、紛争にはかかわりたくないだろうから、地域の火種は大きくなりそうだ。

3.フィリピンで離婚問題の解決推進
【記事要旨】
 フィリピンでは、何千人もの人々が長年の結婚生活に囚われているが、バチカンを除けば世界で唯一離婚が違法なままである。 高額な訴訟費用と複雑な書類手続きにより、多くの人にとって離婚は事実上不可能となっている。
 しかし、人口の80パーセント近くがカトリック教徒であるこの国でも離婚への考えは変化しており、大統領は寛大な姿勢を示している。 このため合法化派の中には、離婚を医療や教育へのアクセスなどの基本的人権として捉え直す者もいる。
 現在、活動家らは科学と統計を利用して、離婚を違法にし続けることが何百万人もの虐待された女性に長期的な影響を与えることを示している。
【コメント】
 フィリピンで離婚が違法とは知らなかった。離婚大国日本の岸田首相とは何か話したのだろうか。

その他の記事より:
・ネパールの大地震
 A powerful midnight earthquake in western Nepal killed more than 150 people, renewing fears of an even deadlier one.
・日本とフィリピンの軍事協力
 Japan and the Philippines, wary of China, agreed to formal military talks.
・豪首相の訪中
 Anthony Albanese, Australia’s prime minister, visited China as the countries took small steps toward “stabilization.”

2023年11月6日 月曜日

岸田首相のフィリピン訪問

 内政での不人気を外交で取り返そうとばかり岸田首相はフィリピン、マレーシアを訪問している。マルコス大統領との首脳会談は日本のメディアには大きく取り上げられなかったが、海外では概して好意的に報道されているようだ。ユーラシアグループのGZERO Dailyの記事を紹介したい。

(タイトル)日本は安全保障を強化するために南に目を向ける
 日本の岸田文雄首相は、フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領との首脳会談のためマニラを訪れており、日本政府は中国へのリスクを回避するために東南アジアのパートナーとの接近を試みている。
 東京はすでにフィリピンと広範な経済・外交関係を持っており、1970年代後半以来、東南アジアでの強力な関係を戦略的に築いてきた。 しかし、岸田首相は今週末のマレーシア訪問と併せて、今回の訪問中に軍事関係を深め、両国への日本の防衛輸出を開放し、相互訓練プログラムを立ち上げることを望んでいる。
 軍事的側面の拡大は東京にとって重要な変化である。 第二次世界大戦直後、米国は NATO のような集団安全保障戦略の代わりに、アジアでの「ハブ アンド スポーク」システムを追求してきた。 日本、韓国、フィリピンなどの国々はすべて米国の同盟国だが、米国の影響力を最大限に高めるのみでなく、各国が異なる脅威に直面していたため、互いに同盟関係にあったわけではない。1950 年代にマニラが懸念していたことは、必ずしも東京にとって問題ではなかった。
 現在、この地域の誰もが懸念している問題が 1 つある。それは中国軍の脅威だ。日本政府は、中国から身を守るためにはもはや技術的優位性に頼ることができないことを十分に認識しており、米国政府も同様である。 ユーラシア・グループの日本ディレクター、デービッド・ボーリング氏は、日本にできることは、こうした長年の絆を取り戻し、東南アジアのパートナーに後押しを与えることだ、と語る。
 防衛協力を強化するための岸田氏のフィリピン訪問は、日本が中国に『あなた方は我々よりも偉大かもしれないが、我々にはあなた方よりも多くの友人がいる』ということを思い知らせる手段である。

(コメント)
 東シナ海で中国に融和的な対応に終始している日本はASEAN諸国にとって頼りになるパートナーたる資格に欠けている。
 日本の防衛装備はコストが高く国際市場で競争できる代物ではない。韓国が汎用性の高い戦車をNATO諸国に提供しているのとは大違いだ。
 国内に米軍基地を50か所も抱え、軍事的には半独立国たる日本は、まず米国との間で是々非々の関係を構築することが他国からの信頼を勝ち取る第一歩だ。

 しかる後に、自分の身の丈に合った防衛戦略をよく考えて、外交もそれを基に展開する必要があるだろう。

2023年11月5日 日曜日

人的資本開示 (備忘録的メモ)

2023年3月期は人的資本情報開示元年。
各社の有価証券報告書で気づいた問題点。

・問題は人材に関する議論不足。
・人材情報を数値化していないため定性的な議論に終始しがち。
・人材の状況と可能性を把握し議論している企業が少ない。
・個を活かすことが企業を伸ばすことに直結しないと思われている。
・個性や環境の多様性が進み、個を最適化して伸ばすことが困難に。
・社員には「求められた仕事をしてくれればよい」と考える経営者が多い。

・人材の可能性を無視した経営は続けられない。
・人のどの部分が経営に影響を与えるか議論する。
・KPIを明確にして具体的な指標や研修計画を立てる。
・ISO30414の58のメトリックスを使用して情報を集め分析する。
・多拠点間の比較のために一つのツールかつクラウドで集約するとよい。

2023年11月4日 土曜日