世界の動き 2025年2月6日 木曜日

今日の一言
「USAID」
 USAID米国国際開発局は、アメリカ政府の機関として世界各地で人道支援事業を展開するため、1961年にケネディ大統領によって設立された。職員約1万人を雇い、その3分の2は国外で働いている。60カ国以上に拠点を持ち、それ以外の数十カ国でも活動している。しかし、現地での作業の大部分は、USAIDが契約し資金提供している他の組織が請け負っている。政府データによると、アメリカは2023年に680億ドル(約10兆円)を国際援助に使った。
 USAIDの活動範囲は広範だ。例えば、飢餓に苦しむ国々に食料を提供するだけでなく、食料が不足しそうな場所をデータ解析で予測しようとするUSAIDの飢饉検出システムは、世界標準として広く活用されている。
 USAIDの予算の多くは、ポリオ予防接種のほか、パンデミックにつながり得るウイルスの拡散を防ぐための健康事業に使われている。
 ケネディ大統領によってつくられ、米国の世界への善意を具現化する機関だったが、トランプ社長の儲からないという判断で行方は暗澹たるものだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領の側近らはガザ占領計画を撤回しようとした
【記事要旨】
 中東の指導者や世界中の主要な米国パートナーは、パレスチナ人をガザから追い出し占領するというトランプ大統領の提案に即座に反対した。世界が警戒する中、政権高官らは昨日、トランプ大統領の計画の要素を和らげようとした。
 マルコ・ルビオ国務長官は、トランプ大統領はガザを一掃して再建することだけを提案しており、占領するつもりはないと示唆した。上院議員によると、中東担当のスティーブ・ウィトコフ特使は非公開の会議で共和党上院議員らに、トランプ大統領は「地上に米軍を派遣したくないし、ガザに一切米ドルを費やしたくない」と語った。
 ガザ占領提案は数十年にわたる国際外交を覆し、中東で反発を招いた。サウジアラビアは「明確な拒否」を表明し、エジプト外務省は「パレスチナ人が立ち去ることなく」ガザへの支援を開始しなければならないと述べ、ヨルダン国王はいかなる移住の試みも警告した。ガザのパレスチナ人は非難と困惑の入り混じった感情を表明した。
 国連報道官は「人々の強制的な移住は民族浄化に等しい」と述べた。専門家は、米国によるガザの占領は国際法違反となるだろうと述べた。
 障害:ガザを「中東のリビエラ」にするというトランプ氏の考えは時間がかかり、莫大な費用がかかる。
 分析:トランプ氏の計画は実行不可能に見えたため、一部の専門家はそれを交渉戦術とみなした。

トランプ氏についてさらに詳しく
・ある判事が、米国内で不法移民や一時移民の子女に米国市民権を自動的に付与する権利を廃止しようとするトランプ氏の試みを阻止した。
・クレムリンは、ウクライナ戦争を終わらせるための和平交渉の可能性についてトランプ政権と協議中であると述べた。
・トランプ氏は2期目の就任から数週間、法の支配をほとんど尊重していない。
・トランプ氏の対外援助凍結により、世界中で何百万人もの人々がHIV治療を受けられなくなっている。
・CIAは、連邦職員の削減命令に従うため過去2年間に同機関が雇用した全職員のリストをホワイトハウスに送った。
・イーロン・マスク氏はなぜ、ほとんどのアメリカ人が聞いたこともない政府機関にこだわっているのか?
・司法省高官は、1月6日の暴動の犯人を捜査した捜査官の身元を明らかにすることを拒否したFBI長官代行と最高補佐官を「不服従」と非難した。
・アメリカ最大の労働組合連合は、マスク氏の連邦職員粛清に反対するキャンペーンを開始している。
・大統領の義理の娘(トランプの次男エリック・トランプの妻)であるララ・トランプ氏は、フォックス・ニュースで自身の番組を司会する。
【コメント】
 ガザをアメリカの物に! 米国不動産株式会社社長であるトランプ氏の面目躍如だ。

2.反政府勢力がゴマを占領し、数千人が死亡
【記事要旨】
 コンゴ民主共和国のゴマ市では反政府勢力とコンゴ軍の戦闘で、先週、約3,000人が死亡した。
 「この数字はおそらく増えるだろう」と、国連平和維持軍の副司令官は語った。
 今週中、家族や人道支援活動家らは、200万人の人口を抱えるゴマ市内のあふれかえる遺体安置所に安置された死体を埋葬するために奔走した。機械式掘削機は、埋葬のために長い溝を掘るのに何日も費やした。
 背景:国連がルワンダから資金援助を受けているとしている反政府勢力M23は、1月26日にゴマへの進撃を開始し、4日間で同市を完全に制圧した。戦闘の大半は停止しているが、同市の制圧により、コンゴ、ルワンダ、およびそれぞれの同盟国の間でより大規模な戦争が起こるのではないかという懸念が高まっている。
【コメント】
 この辺のニュースは日本のメディアには全く出てこない。フジテレビのニュース馬鹿りだ。

3.日産とホンダの合併交渉が行き詰まる
【記事要旨】
 日産自動車とホンダの合併交渉は、世界最大級の自動車グループが誕生するはずだった合併契約の発表から2か月も経たないうちに行き詰まった。交渉に詳しい人物によると、日産はホンダの計画を拒否した。ホンダは、会社の最終的な組織についてホンダに発言権を与え、日産を子会社化するというものだった。
 背景:ホンダの幹部は、日産の財政状態が悪化していることを懸念して交渉に臨んだ。しかし、両自動車メーカーは電気自動車やソフトウェア搭載車への移行に苦戦している。
【コメント】
 この時点での交渉の破談は日産にとって存亡の危機だ。日産株は空売りのターゲットにされるだろう。ルノーは持分をどうするのだろうか。鴻海に売れば、鴻海の子会社化の話が再び出てくる。

その他の記事
フランス:
 政府は議会での不信任決議を乗り切り、2025年度予算の最終承認への道が開かれた。
アルゼンチン:
 ハビエル・ミレイ大統領は、自国が世界保健機関から脱退する計画を発表した。
貿易:
 米国の物品貿易赤字は昨年、過去最高の1兆2000億ドルに達した。

2025年2月6日 木曜日