弱気と強気が交錯する市場

【米ハイテク企業の株価の動き】
 米テクノロジー企業はコスト削減策や自社株買い等が評価され木曜まで値上がりするも金曜は反落した。
 米テクノロジー企業の業績悪化が株価下落につながると先週初めには予想されたが、木曜までは、マイクロソフト、テスラ、メタなどが大きく上昇した。テスラの好業績、マイクロソフトは雇用削減等のリストラ策、メタはコスト削減策や自社株買いが評価されたとみられる。米国では今年から自社株買い額に1%の税金が課されるようになったにも関わらずメタの時価総額の約1割に相当する400億ドル(約5兆円と日本企業全体の年間自社株買いの約半分に相当)もの自社株買いを発表した。2月1日のFOMCでの25bpの利上げは市場予想通りで、米グロース株の回復を後押しした。
 しかし金曜には弱気の虫が頭をもたげた。
 多くの逆風がテクノロジーセクターを襲い業績は下降し人員整理も始まっている。中央銀行は利上げはまだ終わっていないと繰り返し(市場参加者がそれを完全には信じていなくても)述べている。 経済の減速と相まって、企業も消費者も同様に支出を減らすようになっている。何年にもわたって従業員数が急増し、従業員を維持するための快適な特典が提供してきたテクノロジー企業は現在、緊縮に向かっている。以下の3社はすべてコスト削減に言及している点に注目だ。
 アルファベットは、YouTube での広告売上高が 80 億ドルを下回り、アナリストの予測を下回り、4 回連続で利益が減少したことを明らかにした。 経費削減の取り組みについて、CEO の Sundar Pichai は会社のコストベースをリエンジニアして削減を確かなものにすると述べている。
 Amazon は、e コマース事業と同様に、クラウド事業も減速したと語った。CEOに就任して以来、アナリストとの最初の対話で、Andy Jassy は「最適化の方法を見つけコスト効率化を図る」と述べた。
 Apple は 2018 年以来最悪のホリデーシーズンを報告したが、これは主に、中国で最大の iPhone 工場を混乱させた Covid ロックダウンによるものだった。Apple は支出を減らす努力が効果が上がっていることを強調している。

【経済はどうなるのか】
 強気派:
 米Investors Intelligenceは、個人投資家の強気センチメントは、1月18日+16.9→1月25日+19.9と上昇し、2022年1月5日以来の高水準になった。S&P500の2023年の予想EPSは12月31日時点の前年比+4.9% から、1月27日に+3.4% 、うち情報テクノロジーのEPSは+3.7% →+2.0% に下方修正されたが、依然増益と予想されている。
 IMFが1月30日に発表した米国の2023年実質GDP成長率予想も10月比+0.4pptの+1.4%に上方修正されて、リセッションを回避できるとの見通しが強まった。
 米国債は逆イールド(FF金利の4.5~4.75%vs.10年国債利回りの3.4%)
を一層強めているが、逆イールドは近い将来のリセッションを示唆する経験則は忘れさられたようだ。リセッションシナリオはもうなくなったかのようだ。
 弱気派:
 一方、1月の市場上昇が持続するかへの疑念が高まっている。 バンク・オブ・アメリカのチーフ・インベストメント・ストラテジスト、マイケル・ハートネットは今朝、投資家が暗号通貨やハイイールド債などのリスクの高い資産を買い占めている一方で、今年後半に景気後退が見られる可能性が高いため、株式には「弱気リスク」が迫っていると警告した。
 そして、住宅市場に対する賭けに関する「The Big Short」で著名な投資家である Michael Burry は、水曜日に「Sell」という一言をツイートした後、アカウントを削除した。
【コメント】
 難しい局面だ。ボラティリティの高い投資は控え、Buy the best, leave the rest 気に入った優良株をコツコツ仕込む時期だと思う。

2023年2月4日 土曜日