Board 3.0 (その2)

  Board 3.0が上手くいった典型例を紹介したい。

 北九州の飲食チェーンS社に6年半前にファンドが投資を実施。その際トップ経営者を入れ替え、筆者はファンドの指名により監査役に就任した。この度、めでたくファンドから飲食チェーン大手に持株が売却され、Exitが成立した。筆者の監査役もお役御免となった。

 この6年で、A社の内部統制は飛躍的に改善した。
 ・ファンド出資時には実施されていなかった大手監査事務所による会計監査を3年前から実施。
 ・3年前から内部監査室を開設し、業務監査を開始。
 ・監査事務所、内部監査、監査役による三様監査連絡会を適宜実施。
 ・会社規程類の全面的見直し。
 ・内部監査室の社長と監査役へのダブルレポートラインの確立。
 ・内部監査室の経営会議への参加。

 こうした体制整備は、ファンドの後押しと、A社経営陣の受容、A社従業員の意識変化がなしにはできなかった。

 この間、飲食業界にありがちな労働環境を巡る諸問題の解決、セクハラ・パワハラの顕在化による社内での調査等に、筆者は監査役として関与してきた。

 いろいろな問題を解決するごとにA社は内部統制の改善をステップとして企業価値の向上も達成してきた。そして今回の、大手飲食チェーンへの成功裏の売却につながったと言える。

 Board3.0の成功例をその一員として経験できたのは嬉しいことだった。

2024年10月6日 日曜日