世界の動き 2023年11月22日 水曜日

今日の言葉:
「11月22日」
 もう年末まで一月あまりになった。月日が経つのは早い。
 そういえば今日は語呂合わせで良い夫婦の日だ。皆さんにとってはどんな日だろうか。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.イスラエルとハマスの人質合意が近づいているようだ
【記事要旨】
 イスラエルとハマスは、イスラエルが拘束しているパレスチナ人捕虜の一部と引き換えに、ガザ地区で拘束されている240人の捕虜の一部を釈放する合意に近づいているようだ。 この交換は、戦争の短い休止期間中に行われることになる。
 イスラエル政府は昨日午後、「人質解放問題の進展を踏まえ」ネタニヤフ首相が今後数時間以内に閣僚らと異例に集中した一連の会談を開催すると発表した。 ネタニヤフ首相は「近いうちに良いニュースが得られることを期待している」と付け加えた。 バイデン大統領も同様に楽観的な見方を示し、「我々は今や(合意に)非常に近づいている」と語った。
 イスラエル当局者は、交換を可能にする短期間の停戦を承認するかどうかについて閣僚らが投票する予定だと述べた。
 イスラエル当局者らによると、合意が承認された場合、司法審査のための24時間の猶予期間を設けるため、人質らは明日まで解放されない可能性がある。 そして、捕虜の交換が始まるまで、状況は流動的なままになる可能性が高い。
 主にカタールが仲介した人質交渉に詳しい関係者らは、ハマスがイスラエルによって投獄されている約150人のパレスチナ人女性と十代の若者と引き換えに約50人の子供と女性を釈放すること、また戦闘を5日間停止することが中心となっていると述べた。
【コメント】
 近い近いと言われながらなかなか実現しない。この間にもガザでは多くの市民が亡くなっている。

2.バイナンスの創設者が有罪を認める
【記事要旨】
 世界最大の仮想通貨取引所バイナンスの創設者、チャオ・チャンペン氏は米国でのマネーロンダリング違反で有罪を認めることに同意した。
 有罪答弁の一環として、趙氏は5,000万ドルの罰金を支払い、最高経営責任者としての職を辞任する予定だが、これは世界の仮想通貨業界で最も強力で影響力のある人物にとって衝撃的な打撃となる。 裁判所文書によると、同社は有罪を認め、43億ドルの罰金と賠償金を支払うこと、監視員の任命を受け入れることにも同意した。
 バイナンスの世界的な展開と、業界のリーダーとしての趙氏の傑出した役割を考慮すると、比較的新しく急速に成長している仮想通貨の世界にとって、この訴訟は記念碑的な進展であった。 バイナンスは、すべてのデジタル通貨取引の 3 分の 2 を処理したこともある。
【コメント】
 「チャオ氏の指導の下バイナンス社はマネロン取引を黙認していた」という嫌疑に対し司法取引を行ったということだ。金融当局の網が仮想通貨の世界にもようやくかかり始めた。

3.北朝鮮が初の偵察衛星を打ち上げた
【記事要旨】
 北朝鮮は、初の軍事偵察衛星を軌道上に乗せるものだと韓国が主張するロケットを発射した。
 北朝鮮が米国と韓国の軍事行動をより良く監視し、核攻撃能力を向上させることを目的として、衛星を軌道に乗せるという今年3回目の試みとなった。 韓国によると、5月と8月の前回の試みは失敗したが、今回はロシアから技術援助を受けたという。
 ロシアの援助は、北朝鮮がウクライナ戦争でロシアに軍需品を提供する見返りにロシアから受け取ることが期待されていた一連の報奨の一部だったと韓国当局者は述べた。
【コメント】
 軌道に乗せるのには失敗したようだが、北朝鮮の脅威は確実に高まっている。

その他の記事より:
・トランプの口撃
 “Vermin,” “sick”: Donald Trump’s verbal attacks on his political opponents are alarming autocracy experts.
・AIドローン
 The U.S. and a handful of other nations are developing lethal A.I.-controlled drones that could reshape warfare.
・ドイツの歳出制限
 Germany ordered a freeze on spending as the government grappled with a budget crisis.

2023年11月22日 水曜日

世界の動き 2023年11月21日 火曜日

今日の言葉
「自国通貨のドル化」
 アルゼンチンのミレイ新大統領はペソを辞めてドルを通貨として使うことを公約している。そんなことが出来るのだろうか。
 実は米ドルを自国通貨として使っている国は少なくない。
 米ドルを公に通貨として利用するのは、アメリカ合衆国(本土)以外の地域アメリカの支配地域、グアム、北マリアナ諸島、プエルトリコ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、パラオ、エクアドル、エルサルバドル、パナマ、東ティモール、ヴァージン諸島、タークス・カイコス諸島、インド洋地域、BES諸島、ジンバブエ、カンボジア などがある。
 米ドルに限らなければ欧州の小規模先進国で周辺国の通過を使う国もある。
 リヒテンシュタインはスイスフランを、モナコはユーロ(昔は「フランスフラン」)を、バチカン市国はユーロ(昔は「リラ」)を使用している。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.OpenAIスタッフが退職すると取締役会を脅す
【記事要旨】
 昨日、OpenAIの従業員770名のうち700名以上が、追放されたサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が再度任命されなければ退社する可能性があるという書簡に署名したことを受け、OpenAIの将来は危機に瀕している。
 OpenAIの4人からなる取締役会は金曜午後、アルトマン氏をもはや信頼できないとして解任し、テクノロジー業界に衝撃を与えた。 取締役会の決定により、狂乱の週末が始まり、アルトマン氏がマイクロソフトに入社して新しい AI を開始することで終わった。 OpenAI の社長であり会社の共同創設者である Greg Brockman とのプロジェクトです。 OpenAIは昨日、アルトマン氏を同社に復帰させるべく交渉中であると発表したが、夜になって同氏が復帰しないと発表した。
 この騒動により、シリコンバレーの歴史の中で最も急速に成長している企業のひとつの将来に疑問が残っている。
 勝者と敗者: 状況は OpenAI にとって全体的な損失であり、リーダーシップと士気は混乱に陥った。これは Microsoft にとっての勝利であり、OpenAI に 130 億ドルを投資しており、今後もこのスタートアップのモデルを自社製品の強化に使用し続けることができると同時に、アルトマン率いる新しいチームに新しい Microsoft の構築に必要な資金を与えることができる。
 また、これは、AI の脅威を警告してきた研究者や活動家にとっての勝利でもある。 アルトマン氏を解任した取締役会の一部の人々も、AIシステムが強力になり過ぎたという懸念を動機としていた。
【コメント】
 企業は人の集合体だとわかる。OpenAIの700人がマイクロソフトに映ればOpenAIは存続できない。OpenAIが破綻すればマイクロソフトの投資も価値がなくなる。この記事のようにマイクロソフトが勝者と言い切れるのだろうか。

2.ガザの別の病院が襲撃される
【記事要旨】
 病院スタッフとガザ保健省によると、昨日早朝、ガザ地区北部のインドネシア病院が襲撃され、少なくとも12人が死亡、数十人が負傷した。 病院関係者によると、少なくとも500人の患者と数千人の避難民が屋内に避難している。 保健省はイスラエルを非難した。
 スタッフらによると、絶え間ない砲撃と銃撃の中、イスラエル軍戦車が敷地に近づいた後、病院が攻撃を受けたという。 イスラエル軍は、同軍が病院内から銃撃を受けており、その発生源を狙ったと発表した。 軍は「病院に向けて砲弾は発射されなかった」と発表した。
 トンネル:イスラエル軍は、アル・シファ病院の地下にある要塞トンネルであるとする映像を公開した。 タイムズ紙はビデオが病院で撮影されたものであることを検証したが、そこにハマス軍が大規模に駐留しているという決定的な証拠は得られていない。
【コメント】
 Another brutal attack on a hospital! バイデンは一時休戦は近いと言うのだが。

3.アルゼンチンのドナルド・トランプが勝利
【記事要旨】
 アルゼンチンは日曜日、ドナルド・トランプと比較される極右の自由主義者ハビエル・ミレイを次期大統領に選出した。 それは経済危機の下で苦しむこの国にとっては右傾化であり、世界的な極右勢力の永続的な強さを示すものであった。
 経済学者で元テレビタレントのミレイさん(53)は、生意気なスタイル、陰謀論の支持、そして一連の極端な提案で政治の舞台に飛び出した。 同氏は支出と税金を削減し、中央銀行を閉鎖し、自国の通貨を米ドルに置き換えると約束した。 同氏はまた、中絶の禁止、銃規制の緩和、「社会主義と戦う」ことを望む国々のみを同盟国として考慮することを提案している。
 分析:一部の政治アナリストは、ミレイ氏の躍進は、彼のイデオロギーへの支持ではなく、変化を求める有権者の熱望を反映していると述べている。
【コメント】
 指導者の極端な考えが一国をどれだけ変えることが出来るか注目だ。

その他の記事より
・マフィアへ打撃
 Hundreds of defendants were sentenced to prison in southern Italy in a case that prosecutors and experts said dealt a crucial blow to the Mafia.
・米国防長官の訪ウ
 The U.S. defense secretary visited Kyiv, the Ukrainian capital, at a time when progress in the war against Russia as well as U.S. military aid have both stalled.
・日本の風呂敷文化
 A gift without wrapping is like a cake without frosting, yet the inherent wastefulness involved in the use of wrapping paper has prompted many to look to reusable alternatives. Enter Japan.
 Centuries ago, the Japanese elevated the practice of wrapping gifts using beautifully printed pieces of fabric, known as furoshiki, into an art form. When the gift has been unveiled, the fabric is used for other gifts, wrapping cushions or is even framed for display. We asked experts for tips on how to do it right.

2023年11月21日 火曜日

世界の動き 2023年11月20日 月曜日

今日の言葉
「ホリデーシーズン」
 23日のThanksgivingを皮切りに米国はホリデーシーズンに突入する。
『米運輸保安局(TSA)は今シーズンの空の旅行者が過去最多に上るとみて早めの空港到着など乗客にも協力を呼びかけています。一方、年末商戦は金利上昇の逆風で伸び鈍化の予想。モノからコトへの消費シフトはまだ続くのでしょうか?』とBloombergは報じている。
 昨日の日経には多くのクリスマスの広告が載っていた。日本の弱まった消費への刺激になるのだろうか。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.アル・シファ病院から避難した赤ちゃんたち
【記事要旨】
 イスラエル軍がガザ地区最大の病院を襲撃してから4日後、世界保健機関WHOは、医療サービスが停止されたこの施設を「死の地帯」と表現した。
 イスラエル軍が国連チームに1時間の施設見学を許可した後、国連機関は土曜日遅くの声明で、アル・シファ病院には291人の患者が残っていると発表した。 イスラエルは、病院の地下に軍事基地があったという決定的な証拠をまだ提供していない。
 昨日、極度の重篤な状態にある31人の未熟児がガザ南部のラファにあるアル・ヘラル首長国産病院、パレスチナ赤新月社、WHOに搬送された。
最新情報を読んでください。
最近の動き:
 人質:イスラエルとハマスは、人質を解放できるよう数日間戦闘を停止する合意に近づいているが、米国の国家安全保障副補佐官は「すべてが合意されるまでは何も合意されない」と警告した。
 空爆:ガザ北部で数千人の避難民が避難所として利用していた国連が運営する学校が今週末に空爆され、少なくとも24人が死亡したと国連当局者が発表した。
 ハイジャック:イエメンのフーシ派民兵組織が紅海で船をハイジャックしたが、これは「抑圧されたパレスチナ人」への支援を示すものだとイラン支援団体は述べた。イスラエル軍は、この船はイスラエルのものではないと発表した。
【コメント】
 船の拿捕について補足します。
『イスラエルはイエメンのイスラム教シーア派系武装組織フーシ派が紅海で貨物船を乗っ取ったと発表。フーシ派はイランが後ろ盾となっている。イスラエル首相府によると、この貨物船は英企業が所有し、日本企業が運航している。毎日新聞など一部報道によると、拿捕(だほ)された船は日本郵船がチャーターして運航している自動車運搬船「ギャラクシー・リーダー」で、日本人乗組員はいない。』Bloombergより
 一時停戦への合意は近いとワシントンポストは報じているが、補佐官が言うように「すべてが決まるまで何も決まっていない」状況だ。

2.A.I. 最大手の開発者の 1 社で起きた混乱
【記事要旨】
 A.I.の最大手の開発企業の一つでの騒動
 オープンエーアイ(OpenAI)の最高経営責任者であるサム・アルトマンは、金曜日に同社の取締役会によって役職から解任された。また、別の共同創業者である同社の社長であるグレッグ・ブロックマンはその夜に抗議として辞任しました。
 アルトマンを解任する投票は、A.I.に対する恐れに捧げられた哲学的な運動が、テックカルチャーの避けられない一部となっていることを示している。ボードのメンバーのうち2人は、合理主義者(Rationalist)および効果的利他主義者(Effective Altruist)運動に関連があり、これらのグループはA.I.が将来的に人類を破壊する可能性に深く懸念を抱いている。また、オープンエーアイ内でアルトマンがそのリスクに十分な懸念を抱いていないという懸念があったとされている。
 同社のボードメンバーは、アルトマンの解任の具体的な理由を示さなかったが、ブログ記事で「彼が彼らと誠実にコミュニケーションをとっていたとは信じていない」と述べた。
 土曜日には、アルトマンの支持者とオープンエーアイの投資家からの激しい抗議があり、匿名の情報筋がタイムズに語ったところによれば、アルトマンとブロックマンはボードメンバーとの交渉を進めているとのことだ。
【コメント】
 このニュースには驚いた。カリスマ創業者が取締役会の指示を失ったのはアップルでのスティーブ・ジョブスの物語に類似している。彼がいなくても、あるいはいない方がOpenAIが健全に経営されると取締役会は判断したということだ。取締役会メンバーは以下だ。
Ilya Sutskever, also OpenAI chief scientist. Adam D’Angelo, CEO of search query site Quora. Tasha McCauley, a technology entrepreneur and an adjunct RAND Corporation scientist. Helen Toner, an academic and director at Georgetown University’s Center for Security and Emerging Technology.

3.トコジラミの不安がアジアに到来
【記事要旨】
 アジアでプロのバグキラーになるには良い時期だ。
 トコジラミの大発生の恐怖はここ数週間、アジア太平洋地域全体で明白であり、今年初めのフランスでの発生と、より小規模で最近の韓国での発生に関するニュースメディアの息を呑むような報道によってさらに増幅された。 香港では、空港列車内でトコジラミが目撃されたという報告があり、数日間にわたって熱狂的な報道が続いた。
 これまでのところ、この秋アジアでトコジラミの大発生は報告されていないが、一部の住民や自治体はすでに害虫駆除会社を雇ったり、害虫駆除用品を放棄したり購入している。
【コメント】
 日本ではダニの駆除への関心が高い。さすがにトコジラミ(南京虫と言うほうがわかりやすい)はまだ見つかっていないようだ。

その他記事より
・フィリピンで大地震
 An underwater, 6.7 magnitude earthquake shook the southern Philippines on Friday, killing at least seven people.
・アルゼンチンの大統領選挙
 Argentines headed to the polls to elect their president. A far-right libertarian, Javier Milei, and the center-left economy minister, Sergio Massa, are in a tight race.
(極右の改革派かポピュリストの現状維持派か、究極の選択だ)
・海水淡水化
 Experts say Dubai’s reliance on desalination is damaging the Persian Gulf.

2023年11月20日 月曜日

IPPF改訂版と2017年版のリスク定義の変化 備忘録的メモ

IPPFの改訂版はリスクに関する記載が増えている。それは「用語一覧」を比較しても十分うかがえる。リスクに関する用語一覧を比較し、2017年版から比べて改訂版はどのような変化があるか見比べてみたい。

IPPFの改訂版と2017年版の用語の違い

risk(リスク)
改訂版での定義
戦略及び事業目標の達成に影響を与える事象発生の可能性
2017年版での定義
目標の達成に影響を与える事象発生の可能性。
リスクは、影響の大きさと発生可能性とに基づいて測定される。
改訂のポイント
より一般的なCOSO の定義を選択した。

risk and control matrix (リスクとコントロールのマトリクス)
改訂版での定義
内部監査の実施を容易にするためのツール。リスクとコントロールのマトリクスは通常、事業目標、リスク、コントロール・プロセス、及び内部監査のプロセスを支援するための重要な情報を関連付ける。
2017年版での定義
記載なし
改訂のポイント
リスクとコントロールのマトリックスは基準では頻繁に使用されているので、監査人の基準の理解が進むために用語集に追加する。

risk appetite  (リスク選考)
改訂版での定義
組織体が戦略や事業目標を追い求めて積極的に受容する、リスクの種類と量。
リスク選好度は、コントロール手段を講じることによるコストと便益のバランスを取った上で組織体が意識的に受け入れるリスク量を考慮する。
2017年版での定義
組織体が積極的に受容するリスクのレベル。
改訂のポイント
COSO の定義を選択し、他の情報源と一致するようにした。2文目の説明を追加し、よりよく理解できるようにした。

risk assessment (リスク評価)
改訂版での定義
組織体の目標達成に関連するリスクを特定し、分析すること。リスクの重大性は、通常、影響度と発生可能性に基づいて評価される。
2017年版での定義
定義なし
改訂のポイント
過去に混乱を起こした概念を明確にするために追加。

risk management  (リスク・マネジメント)
改訂版での定義
組織体の目標達成に関し、合理的なアシュアランスを提供するために、発生する可能性のある事象や状況を、評価し、管理し、コントロールするプロセス。
2017年版での定義
組織体の目標達成に関し、合理的なアシュアランスを提供するために、発生する可能性のある事象や状況を、識別し、評価し、管理し、コントロールするプロセス。
改訂のポイント
「識別する」を削減。識別するのはリスク評価プロセスの話。

risk tolerance (リスク受容度)
改訂版での定義
事業目標の達成に関連する実施状況における、受容可能な変動の限界。
2017年版での定義
記載なし
改訂のポイント
新しい基準で使用されるので、COSO の定義を使用して定義。

IPPFの進化 (備忘録的メモ)

内部監査人協会(IIA、本部米国フロリダ州)は、「内部監査の専門職的実施の国際基準」(International Standards for the Professional Practice of Internal Auditing)(IPPF)更改のため新基準の公開草案を、2023年3月1日に公表し、コメントは5月30日まで受けつけた。コメントを反映した最終案はまだ提示されていない。2023年末か2024年初頭には日本語訳も示されると予想される。

新基準の名称は「The Global Internal Audit Standards(グローバル内部監査基準)」。冒頭には、新基準の役割として以下のように記されている。
・品質の高い内部監査の専門職実務を導くための要求事項と推奨事項を提供する
・内部監査業務のパフォーマンス評価の基礎となる

新基準について以下に概説する。
(1)新基準は以下のように構造化されている
• Principles(原則)
• Standards(基準)

o Requirements of the professional practice of Internal Auditing(内部監査の専門職実務の要求事項)
o Considerations(考慮事項)
Implementation(基準の実装についての考慮事項)
Evidence of Conformance(基準への適合性についての考慮事項)

(2)新基準は、次の5つのDomain(領域)から構成されている
• I. Purpose of Internal Auditing(内部監査の目的)
• II. Ethics and Professionalism(倫理とプロフェッショナリズム)
• III. Governing the Internal Audit Function(内部監査部門の監督)
• IV. Managing the Internal Audit Function(内部監査部門の管理運営)
• V. Performing Internal Audit Services(内部監査業務の実施)

(3)新基準は、IPPF全体の更改の一部として計画されている
IPPFには新基準の他、ガイダンス(主にPractice GuideとGTAG)と目下検討中のTopical Guidanceが含まれる予定である
新基準を含むIPPFの更改計画はに内部監査人協会のWebsiteに公表されている

(4)現行のIPPFの以下の構成要素は、新基準に整理統合され単独では存続しない
• 内部監査の使命(Mission of Internal Audit)
• 内部監査の定義(Definition of Internal Auditing)
• 内部監査の専門職的実施の基本原則(Core Principles for the Professional Practice of Internal Auditing)
• 倫理綱要(Code of Ethics)
• 内部監査の専門職的実施の国際基準(International Standards for Professional Practice of Internal Auditing)
• 実施ガイダンス(Implementation Guidance)

(5)2017基準から新基準への変更の理由
国際内部監査基準審議会は、そのガバナンス・プロセスに従い、少なくとも3年に1度、「内部監査の専門職的実践の国際基準」の改訂が必要かどうかを検討するよう義務づけられている。
2020年から、基準審議会は、基準だけでなく、IPPF(基準を含むフレームワーク)を見直すプロジェクトに着手し、今日の急速に進化する世界情勢の中で、内部監査の現在の実務を導くのに十分な内容であるかどうかを検証した。基準審議会は、広範な調査と意見に基づき、ステークホルダーの利益に対応しつつ、内部監査人や所属する組織体をより適切に導けるようにIPPFと基準を改訂することを取り決めた。

5つの主要な目標を達成するためにIPPF進化プロジェクトが実施されている
• IPPFの構造を簡素化すること。
• すべての要素を明確にし、整合させること。
• 基準とガイダンスが、タイムリーで、実用的で、適用可能であり、新たなテーマに対応していることを確保すること。
• 基準を内部監査人だけでなく、ステークホルダーや規制当局にも提唱すること。
• 内部監査の実務と質を高め、組織体の価値を維持・向上させること。

参考資料:
• 新基準の目次(Table of Contents Proposed Standards)
• 2017基準から新基準へのマッピング(Standards Mapping)
• 2017基準の用語一覧から新基準の用語一覧への整理(Disposition of Glossary)