広島から75年

8月は日本人が厳粛な気持ちになる月だ。
・広島の日 8月6日
・長崎の日 8月9日
(ソ連が日ソ平和条約を破棄し参戦した日でもある)
・終戦の日 8月15日

8月6日は無辜の市民が30万人も一発の原子爆弾で命を奪われたなんとも割り切れない気持ちを抑えきれない日だ。
戦争中だったからと言って非戦闘員の市民を虐殺する権利が交戦国にあったとは到底考えられないし、国防の任を全く果たせず、無謀な戦いをとめることも出来なかった政府の責任は追及しても仕切れるものではない。

日本の右翼は「極東軍事裁判史観」が日本人の精神構造を歪めたと言い、左翼は「天皇制が温存され旧体制が日本に残置された」と言う。
筆者個人としては、日本を破局に導き多くの人命を失わせた当時の指導者に対し、日本国民自らがその責任を追及する機会が永久に失われたことが一番残念なことだ。

さて、今日は核兵器の話をしたい。
オバマ前大統領が核兵器廃絶を目指すと演説しただけでノーベル平和賞を受賞したが、現状はどうなっているのか。

現在世界で配備されている核兵器は以下のとおり。
ロシア   6375基
米国    5800
中国    320
フランス  290
英国    215
パキスタン 160
インド   150
イスラエル 90
北朝鮮   30-40

戦略核兵器削減条約(START)でロシア、米国は其々1500基程度まで核兵器を減らすとして配備核兵器の数は漸減しているが、一方で、両国とも核兵器の近代化に努めており、近中距離核兵器の開発はあらたに進めている。

米ソが圧倒的多数の核兵器を保有しているが、次に来る中国は両国と足並みをそろえて核兵器を削減する意図はない。米ソが中国と同レベルまで核兵器を削減したら、あるいは中国が米ソと同レベルまで核兵器を増やしたら、共通の土俵に乗るというのが中国のスタンスだ。

パキスタン以下の国々は自国の防衛をお題目に核兵器の削減には全く乗り気ではない。

唯一の被爆国を標榜する我が国が「核兵器禁止条約」に参加していないことも理解できない。

国際政治の現実から、広島の日から75年経った今も核兵器の廃絶の道は厳しい。

(2020.8.6)