4月7日、8日、9日とネットに接続できる環境に無いので、ブログをお休みします。その前に今日は、ESGについてまとめて述べてみたい。
ESGへの企業の取組についての開示要請が2023年3月決算期から明示的に強まる。企業にとっては頭の痛い問題だがどのように考えて対応したらよいのであろうか。
一つのヒントはNYUのビジネススクールの有名なファイナンスの教授であるAswath Damodaranを巡る議論を参考に見てみたい。
ダモダラン教授はESG批判の急先鋒だ。ESGについての彼の議論をまとめると「ESGは企業価値の向上に資することは何もない。あまりに過大評価され無駄な作業を世界中で行っている。」と言うことだ。
教授によるとESGに熱心に取り組んでいるのに二種類の人間がいる。1 つ目は、ESG 測定サービス、コンサルティング会社の ESG 部門、および ESG 投資ファンドの塹壕で苦労しながら、自分たちは善の大義を推進していると信じている善意の個人である愚か者だ。 2つ目は、ESG概念の背後にある空白を十分に知っているが、お金を稼ぐ機会を見ている、無謀な悪党である。
私はこの二種類だけでは無いと思う。ダモダラン教授が見落としている 3 番目のグループがありうる。それは、ESG データを分析にうまく取り入れ投資のバリューアップを望む人たちだ。彼らは、保有する投資において「世界を救う」ことを優先しておらず、投資で自分の価値感を表現するのではなく、投資の好評価に焦点を当てている。投資のパフォーマンスが善行に優先するのだ。
企業がより多くの環境および社会的情報を開示するにつれて、投資家がESGデータを株式価格評価に組み込む可能性が高まるのは当然のことだろう。消費者は自分の投資で社会が改善すればとも考えている可能性がある。
消費者の選択、規制の強化、経営ガバナンス慣行の精査が、企業の将来のキャッシュ フローに影響を及ぼす財務上のリスクを理解することにつながり、賢明な投資を行うことにつながるかもしれない。
最終的に、投資家は適切なリターンを得るための企業評価プロセスの一環として主要な ESG のリスクと機会を理解することは、ESG の開示とESGへ焦点が当たることが前提となるのであり、企業価値のバグとみなすべきものではない。
ダモダラン教授が主張するように、ESGを重視する動きが企業価値を高める証拠はない。教授が指摘するように、炭鉱企業はESGの波の高まりの中で「悪者」となり本来の企業価値を割り込んで沈没している。
ESG指標はあくまでも投資の理由づけに使われるべきで、企業の善悪をとやかく言うものではないのだろう。ESGのディスクロージャーについては「善い者」ぶるのではなく、等身大の自社の状況を示して投資家の判断を待つのが正しい姿勢だと思われる。
ご参考:ダモダラン教授のHP
https://pages.stern.nyu.edu/~adamodar/
教授の授業を視聴することも可能だ。
2023年4月6日 木曜日