今日の一言
「長期国債金利」
10年もの国債の利回りが1.5%を越えたので、本当に金利のある世界になってきたと思ったら、20年物、30年物国債の利回りも上昇している。
参院選後に財政政策が拡張する見込みを背景に、国債市場では、30年債利回りは3%の大台に乗せて5月に記録した過去最高の3.185%が視野に入る。20年債利回りも2.5%台と、約25年ぶりの高水準に迫っている。
10年物が1.5%、20年物が2.5%、30年物が3%と覚えやすい綺麗な順イールドカーブになっている。
10日には20年利付国債の入札が行われるが、超長期債に対する投資家の需要を占う試金石となる。超長期債には金利上昇圧力がかかっており、入札結果が低調となれば一段の上振れにつながる可能性がある。
オオカミ少年が30年にわたって唱えてきた「日本国債の崩落」リスクがやっと実現する可能性がある。英国では財政悪化がスターマー政権の命取りになりそうな情勢だ。今回の国債入札が石破政権へのレクイエムになるかも知れない。
ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ロシア、ウクライナとの戦争を激化
【記事要旨】
ロシアは昨日、トランプ大統領がプーチン大統領の和平に向けた「無意味な」措置を厳しく批判した直後、ウクライナに対し大規模な無人機とミサイル攻撃を開始した。
ウクライナ空軍によると、ロシアは爆発性無人機とデコイを728機発射した。これは一夜限りの記録であり、ウクライナの武器不足を浮き彫りにした。先週ウクライナへの武器供与を停止したトランプ大統領は月曜日、ウクライナが「甚大な打撃を受けている」ため、供与を再開すると述べた。
プーチン大統領の計算:トランプ大統領の新たな厳しい口調は、ロシアの攻勢にほとんど影響を与えていない。クレムリン筋によると、プーチン大統領はロシアの戦場での優位性が高まっており、ウクライナの防衛体制が今後数ヶ月で崩壊する可能性があると確信しているという。「彼はトランプ大統領との関係改善のためにウクライナにおける目標を犠牲にすることはないだろう」とある専門家は述べた。
制裁:上院共和党トップは、ロシア産の原油を輸入する国に制裁を課す法案の採決に向けて勢いが高まっていると述べた。
【コメント】
プーチンのスタンスは戦争の開始から全く変わっていない。ウクライナ国土の占有、親ロシア政権の樹立だ。
戦況がロシアに決定的に劣勢にならない限り、気まぐれなトランプが何を言おうが平気の平左だ。
2.トランプ大統領、さらに多くの国に関税を課すと警告
【記事要旨】
トランプ大統領は昨日、アルジェリア、ブルネイ、リビア、イラク、モルドバ、フィリピン、スリランカに対し、8月1日までに米国と新たな貿易協定を締結できない場合、米国への輸出に高額な関税が課されると通告した。少なくとも21カ国が関税の警告の詳細を記した書簡を受け取った。
最新の書簡では、フィリピンには20%、リビアとイラクには30%の関税が課される。トランプ大統領はまた、ブラジル当局が自身の政治的盟友であるボルソナロ前大統領を不当に訴えていると非難し、ブラジルにも50%の関税を課すと警告した。EUは今週、全面関税を回避するための合意案の草案策定を推進している。トランプ大統領はまた、銅の輸入に50%の関税を課す計画も発表し、米国における銅価格の高騰につながった。
思い通りに事が運ぶ:トランプ大統領の政策の主要部分が今、明らかになりつつある。巨額の減税は合法となり、貿易戦争は具体化しつつある。米国経済の運命は今や彼の手中にある。
【コメント】
ASEANはトランプの関税政策に懸念を表明したが、加盟国の間でも対応に温度差がある。トランプの思い付きの関税率は思いがけない効果を生んでいる。
日本のメーカーはこれまで日本で関税を吸収してきた。
7月2日の日経の記事だ。
『トヨタ自動車は7月1日から米国で車両販売価格を平均270ドル(約4万円)引き上げた。関税発動以降、米国で他社による値上げ表明が相次ぐなか「競合他社の相次ぐ値上げの発表や市場動向などを踏まえて判断した」と説明している。』国税は移転価格の問題をどのように解釈するのだろうか。
3.韓国の元大統領、再び収監される
【記事要旨】
昨年、戒厳令を発令しようとしたとして既に裁判を受けていた韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)元大統領が、昨日再逮捕され、再び収監された。
李在明(イ・ジェミョン)新大統領が任命した特別検察官は、尹元大統領を司法妨害を含む追加の犯罪で告発し、裁判官に逮捕状発付を求めた。裁判官は令状発付にあたり、尹元大統領が釈放されれば、自身に不利な証拠を隠滅できると述べた。特別検察官と捜査チームは、先月捜査を開始して以来、尹元大統領を再び収監することを望んでいた。
【コメント】
元大統領の悲惨な姿は何度も韓国で繰り返される。
その他の記事
テキサス州:壊滅的な洪水による死者は119人に達し、173人が依然として行方不明となっている。
ソーシャルメディア:Xの最高経営責任者(CEO)であり、イーロン・マスク氏の側近でもあるリンダ・ヤッカリーノ氏が辞任を表明した。
アフリカ:トランプ大統領は、ホワイトハウスでガボン、ギニアビサウ、リベリア、モーリタニア、セネガルの首脳と会談した。トランプ政権は貿易に注力する一方で、人道支援を削減している。
+
ヨーロッパ:最近の大陸熱波による死者数は、気候変動の影響で3倍に増加した可能性があるという研究結果が出た。
気候:新たな研究で、海洋におけるナノプラスチック汚染の推定値が初めて発表された。その量は膨大だ。
アジア:韓国と日本の一部地域では、今年梅雨が短くなった。科学者たちは、気候変動の影響で夏の雨が不安定になっていると述べている。
【おまけ:日本のGDPに迫る凄さだ】NVIDIAの株価(Bloomberg記事より)
『米半導体大手エヌビディアの時価総額が一時4兆ドル(約586兆円)を突破した。時価総額が4兆ドルを超えた企業は世界史上初めて。世界の金融市場におけるエヌビディアの圧倒的な地位が改めて示された格好だ。
9日の米株式市場でエヌビディア株は一時2.8%高の164.42ドルとなり、時価総額が4兆ドルを突破。今年に入り中国のDeepSeek(ディープシーク)登場に伴う懸念やトランプ大統領による貿易戦争がリスクセンチメントへの重しとなり、株価は軟調なスタートを切ったが、その後は目覚ましい回復を見せている。
同社株は1.8%高の162.88ドルで取引を終えた。
エヌビディア株は2025年に入り20%余り上昇。23年初めからでは1000%超の値上がりとなっている。エヌビディアは現在、S&P500種株価指数における構成比率が7.5%となっており、影響力としては過去最大に近い。』
2025年7月10日 木曜日